おやすみの前に (ページ8)

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いつかの笑い話(碧海) ページ8

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「俺なー、好きな人おんねん。めっちゃかわいいやつ」

碧海と飲みに行って突然のカミングアウトをされたのは、覚えてる。

そんなの全然知らなくて、頭がパニックになって

そのままお酒を飲んでた…はず。

なのに、

「おーい、はよ起きぃや。寝過ぎやって」

『………へ？』

「おっ起きた？おはよ、アヤ」

何で目の前に碧海がいるのか。

昨日、自分の部屋まで帰ってきた記憶がない。

だって、失恋が確定してショックでいっぱい飲んじゃって…

…そこから思い出せない。

"めっちゃ寝ぐせ付いてるやん"とへにゃっと笑いながら私の頭を撫でてくるけど、

全く理解できない私は彼を見つめて固まるしかない。

『なんで、碧海がここにいるの』

「なんでって何やねん笑彼氏の顔忘れたん？」

『…は、彼氏？』

「うん。寝ぼけとる？笑

　昨日アヤから告白してきたやんか」

私から、告白…

…は、待ってなにそれ？！

した覚えが全然無いんだけど…？！

いくら思い出そうとしても頭が痛くなるだけでなんにも思い出せない。

でも、もしも

覚えてないだけで本当に告白しちゃったんだとしても

碧海がなんでOKしたのかもわからない。

だって好きな人いるって…言ったじゃん。

『なんで碧海、好きな子は…？』

「ん？あぁ、それはもうええねん」

『いいって、なにが』

「なにって、アヤと付き合えたしもうええやろ？ほら朝ごはん出来てんで〜」

『…なに、それ』

「…アヤ？」

私が告白したから

振るのが可哀想だから、好きな子を諦めて私と付き合ってくれてる？

寝起きの頭は全然働かないし信じられないことが続いて何が何だかわからないけど

そんな状態でもはっきり思うのは

自分の気持ちを押し殺してまで付き合って欲しくないってことだけ。

私が記憶を飛ばしてなければこんなことにならなかったのに。

黙る私を見て急いで駆け寄り、手をぎゅっと握って目を見てくる彼。

「待って、なんでそんな泣きそうなん」

『…碧海、私なんかじゃなくて、好きな人と付き合うべきだよ』

「は、どういうこと？ほんまに忘れたん？」

『なにを…？』

「俺の好きな人、アヤやって昨日言うたやん！」

『そんなこともあったね〜』

「ほんまに、あの時はマジかと思ったわ。結構拗ねた」

『ごめん笑』

「…好き？俺のこと」

『もちろん。好き』

「俺も好き」

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