愛して、病(将吾) ページ27
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「たじくんってほんとに紳士だよね」
「ふわふわしててかわいい!」
将「えぇ、おれ?そんなことないよ〜」
自分を指差して、首をこてん。
教室の誰よりも高い身長のはずなのに、このかわいらしさはなんなんだと思うほど。
ふふふ、と恥ずかしそうに笑う彼にみんなメロメロで
女の子たちみーんな彼のとりこになる。
将「…アヤ」
『…っ』
将「ふふ、…帰ろ?」
いつのまにこっちに来たのかわからないくらい、音もなく彼はすぐそこにいて
いつも通りの笑顔で、私に手を差し出した。
…この笑顔の裏を、みんなは知らない。
ぎゅっと手を繋がれたまま2人並んで歩く姿は、側からみればただのカップル。
込められた力と、内容に目を瞑れば…の話だけど。
将「おれねぇ、見ちゃったんだよね」
『…何を?』
将「アヤが洸人くんと話しかけられてるところ」
『あ…で、でも話してないよ!』
将「うそだあ。…俺に嘘つくの?」
『い、た…っ痛い』
グッと痛いくらいに加わる力に顔が歪んでしまう。手を繋ぐというより握り締められている感覚だ。
やめてと縋るように彼を見上げても、また"いつもの"笑顔のままで口角は上がっている。
やがて「ごめんねぇ、ふふ」っと笑って力を抜いた。
将吾くんの、裏。
極度の嫉妬深さによる束縛気質だということ。
前はこんなに重度じゃなかった。
「やだぁ…」なんて言って、むすっと拗ねて抱きしめてくるくらいだったのに
ある時から一変した。
何がきっかけかなんて、私にはわからない。
将「アヤはおれがやだって思うこと、なんでしちゃうのかなぁ」
『わざとじゃなくて…!西くんも部活の連絡だっただけだし、』
将「…やだって言ったよね、ほかの男の名前出すのも」
『ごめ、ん…っ』
帰り道にも関わらず、強く手を引かれて壁側に寄せられた途端に口を塞がれる。
どこで覚えたのかと思うほどに上手い彼のキスは、私の頭をどんどん真っ白にしていく。
彼のことしか考えられなくなるくらいに。
ゆっくりと離れた後に彼を見れば、嬉しそうに満たされた顔をしてふにゃりと笑っている。
…あぁ、この顔
私がだいすきだった…変わらない笑顔。
将「アヤが大好きで、愛してるだけだよ。わかってくれる?」
『…うん、私も』
将「ふふ。
これからも、ずっと一緒にいようね』
私はきっと、頷くしか出来ないんだろうな
明日も、この先もずっと。
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作者名:らん | 作成日時:2021年9月20日 4時