策士なきみは(蓮) ページ22
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『うーん…』
「ん〜?なんか悩んどる?」
『ふむ…』
「あんまり声に出してふむ…って言う人おらんのよ」
『ふふっちょっと笑わせないで!』
「アヤが言ったんよ!笑」
キュッキュと喉を鳴らせながらふにゃりと笑う彼
久しぶりのオフの日、どこに行くでもなく家でまったりとした平和な時間が流れる。
たしかにふむ…って言う人いないよね
小説の中だけだもんね。推理の。
彼はテーブルで最近買ったビーズを並べて何かを作っている様子。
私は少し離れたリビングのソファに腰掛けながら、楽しそうな彼を観察中。
離れていても会話は続くしテンポがいいから心地いい。彼の頭の回転が早いからね
隣にぴったりくっついていなくても心は繋がってる感じ、落ち着く。
『蓮のね、呼び方を変えてみようと思って』
「それ付き合いたての頃にすることだねぇ」
『それをね、ずっと考えてるの。いいのないかなって』
「ふむ、候補はあると?」
『ふむ気に入ったの?』
普通なら急に何なんだとなるかもしれないのに、
候補ちょうだい、と嬉しそうにこちらを向く彼はなかなか私に甘い。
手招きをされたので彼の元へ行き、椅子に座る彼の後ろから力を抜いて抱きついた。
ふむ、今日も細い。
『蓮くん』
「最初はそれやったよね。アヤ左の手貸して」
『川尻先輩』
「後輩になったと?笑」
『しりしり』
「にんじんなんよそれ」
さすが蓮、今日もツッコミが冴えてる。
蓮が笑うたびに抱きついてる私まで揺れるからやめてほしい。
でも笑うのはやめてほしくない。
あまりスキンシップを好まない…というか、無駄にベタベタするのが好きじゃないから、そろそろ離れた方がいいかもしれない。
ほぼ全体重を乗せていたから蓮が潰れてしまう。それはまずい。
そっと身体を離そうとすれば、
できたぁ!と嬉しそうな高い声。
こちらを振り返る緩んだ顔と目が合い、結局そのままの体勢のまま固まった。
『…うん?』
「ふふ、アヤに作ったんよ。似合っとーよ」
『…あ、うそ!いつのまに!』
「気づいてなかったと?笑」
先程出した左手に、可愛らしいビーズのブレスレットがつけられていた。
ちなみにおそろい、と彼が見せた腕にはよく似たものが。
これでどこにいても繋がっとーねって
…ほんと、甘いなぁ。
『なんで左手なの?』
「…大事なときのためやけん、待っとって?」
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作者名:らん | 作成日時:2021年9月20日 4時