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かわいいって言って!(京介) ページ2

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胸元まであった髪を、肩くらいまで切った。


優しい京ちゃんの隣にいても変じゃないようにって、いつもはストレートだったけど巻き方まで教えてもらって、

少しでも女の子らしく。




小さい頃から絶対ロングが好きって思ってたのにさ?


全部全部、京ちゃんからの"かわいい"をもらうため。






『京ちゃん!おはよっ』



「あーおは……え?髪切ってるじゃん」



『えへへ、気づいた?』



「これは気づくでしょさすがに」





教室に着いた途端に彼の席へと急ぐ。


メイクを変えたぐらいじゃ気づかない京ちゃんも、これには気づいてくれたみたい。




へ〜短くなったね〜、なんて言ってまじまじと見てくる京ちゃんを、

期待に目を輝かせて見つめる。






「…え、なに。めっちゃ見てくるじゃん」


『京ちゃん、私待ってるんだけど』


「なに待ち?こわいこわい」


『もう!私髪切ったんだよ??何にも思わないの?』


「いや…え?…あぁ、似合ってるよ?」


『なんで疑問系なの!』




そんな言い方じゃまるで、似合ってるなんて思ってないけど私が欲してるから言っただけみたいじゃん。



私は京ちゃんの純粋な気持ちが聞きたいのに。



…かわいいって、思って欲しいのに。






『…もういい、今日京ちゃんと帰んない』


「拗ねんな、似合ってるってば」




京ちゃんのばか。


たった一言欲しいだけなのに。


かわいいって言ってと素直に言えないわがままな自分も嫌だ。




さっきまでルンルンだったのに一気に気分が落ちて、頑張って巻いた髪にも自信がなくなってきた。



自分の席に戻ろうとして、

ふと京ちゃんの後ろの席の木村くんがニコニコしているのに気づいた。





『ねぇ木村くん、私切らない方が良かった?』


柾「なんで?めっちゃかわいいよ、似合ってる」


『ほんと?』


柾「うん。俺こっちの方が好き〜」




「…ちょっと柾哉くん、それはだめ」






突然腕を引かれて身体がぐらりと傾き、気づけば京ちゃんの膝の上に。


驚く私の視界に見えるのは、顔を顰めて木村くんを見る京ちゃんと、爽やかに笑って席を立つ木村くん。






「…かわいいから。ちゃんと。


…あんまり他の人にうろうろ行かないでくれる?」



『…京ちゃん?』



「かわいいとか毎日思ってるし…


 多分俺の方がアヤのこと好きだからね」



『え、うそ』



「ほんと。…で、今日一緒に帰んないの?」





耳まで赤くなった彼のことがもっと大好きになった日になった。



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作者名:らん | 作成日時:2021年9月20日 4時

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