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「まもなく、ｰｰ駅、ｰｰ駅───。」
電車の中にいつも聴く車掌さんの声が流れる。
─────
Aついたで〜
─────
一言LINEをしょうに送って、もたれていた体を起こす。
短い電車時間だったけどその間でもたわいもない会話を送ってきてくれていたから、退屈な時間ではなかった。
─────
しょうおっけーい!
ほな、改札んとこで待っとるわ!
─────
ドアが開くとすぐに電車をおりて、しょうの元へ行く。
楽しみにしているからか、無意識に足は早くなる。
改札の手前まで来ると、片手でスマホを触りながら待つしょうがいた。
(横顔…大優勝なんやけど…)
そんなことを思いながら近づくと、ぱっと顔をあげたしょう。
キレイな二重の下からのぞくつぶらな瞳は私の姿を捉えていた。
その瞬間、学校で見せるいつもの笑顔になり、1歩、2歩と私に近づく。
「待っとったで！！！私服初めて見たなぁ」
男の子と2人で会うなんてしたことのなかった私は、今自分が置かれている状況に何故か恥ずかしさも感じていたけど、目の前でこんなに笑顔のしょうを見ていたら、もう自分の感情なんて忘れてしまったようだった。
「たしかに。しょうの私服かっこいいやん」
ついさっき自覚した自分の気持ちから、ちょっと勇気をだして言ってみた。
すると、少し目を見開いた驚いた表情をすると、少し俯いてまた顔を上げた。
「…ずるいやん。Aより先に言おうと思っとったのに。私服めっちゃかわいいなぁ！」
少し独特な笑い方を含ませながらそういうしょう。
また勝手に頬に熱が溜まるのがわかって、恥ずかしさのあまり下を向いてしまった。
「何恥ずかしがってんねん笑 そういう反応されたらこっちも恥ずかしいやんか」
そう言って私の肩を少し小突く。
「今のはしょうが悪い。」
「ごめんごめん笑 ほないこか〜、手でも繋ぐ？笑」
「からかうなばーか！」
「ばかとはなんやばかとは！！」
いつもの調子で会話を続ける。
冗談で「手繋ぐ？」なんて言ってくるんだから、友達としか見られてないことを再確認。
少しモヤっとしたけど、でも、今彼の目には自分しか映っていなくて、彼と一緒にいるのは私だ。と思うと、ほかの女子よりも優れている気がして、嬉しくなる。
駅から近い彼の家。
彼の数歩後ろを歩いて、彼の家に向かう午後12時。
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作者名：とちもち | 作成日時：2022年11月20日 19時
