帰り道 ページ11
し「今日はほんまうるさてごめんな」
「ううん。めっちゃ楽しかったで。」
し「そう言ってくれて嬉しいわ」
オレンジの夕暮れの光が木々の隙間から差し込んで私達の影をかたどる。
斜め裏から見えるしょうの横顔はほんとに綺麗で、思わず見とれてしまった。
し「そんなジロジロ見んで笑なに笑」
「え、いや、なんも…」
し「何焦ってんな笑」
いつの間にかじっと見つめてしまっていたようで、少し焦る。
「…横顔、綺麗やったから…」
し「え、なに!?こわいて笑」
と、こちらを驚いたように振り向くとまた "もー"とか言いながらなんだか嬉しそうな顔してた。
「もう言わんでー?こんな褒めることもうないでー?」
し「いや言ってや?俺褒められて伸びるタイプやで?」
「いや知らんわ笑」
またいつもの調子に戻った私達は、またバカみたいな会話をしながら駅に向かっていた。
────
し「今日はほんまありがとな〜、また来て!」
駅に着くと改札口の前でそう言った。
「もちろん笑すずくんやこうくんとも約束しちゃったしなぁ?」
し「すずもこうも喜ぶわ!」
「また来るで誘ってな?」
し「うん…」
一通り会話が終わったと思うと、なんだかしょうは何か言いたがっているようだった。
「…なに?笑」
私がそう聞くと、少し冷たい風が吹いてきて、しょうの前髪をさらりと揺らした。
し「いや、」
「ん?」
し「今度、2人でも遊ぼな」
「え?」
し「そ、そゆことやから!家ついたら連絡して!」
というと、"じゃ" と言って去っていった。
(これはデートのお誘いなのか…?)
と1人で悩みながら、早足に去っていくしょうの背中に手を振った。
ピッ
と音を鳴らしながら、帰りの電車へと繋がる改札を通った。
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作者名:とちもち | 作成日時:2022年11月20日 19時