魔人と狂王の邂逅 ページ9
陽side
『あは、暴露ちゃったのですよぉ〜』
楽しげに笑うのは陽。
黒い電子機器を握りしめて笑っていれば、正面にいた人物が尋ねてきた。
「何が暴露たんですか?」
『ふふ、何でも無いのですよぉ〜』
こと、とチェスの駒の騎士が動かされる。
それに続き、傷の付いた指で駒を動かす男____フョードル・ドストエフスキー。
彼は紫紺の瞳を細め、悪戯に笑った。
「____何方が本当の
ハッキリさせましょうか」
****
『正直言うとぉ、君に負ける気はしないのですよぉ〜』
「奇遇ですね、ぼくも貴方に負ける気が全くしません」
互いに駒を動かしあい、挑発を交えながらの会話。
第三者が混じれば、震え上がり逃げ出したくなるような殺気と緊迫感の混ざった空気。
それを作り出す人物二人は、余裕そうな笑みを作ったまま対決を続ける。
『愛弟子である治君に負けたフョードル君に、私が負けるはずないのですよぉ〜』
「ぼくは負けた記憶がないのですが」
『近い未来の話をしているのですよぉ〜』
「《狂王》と呼ばれた貴方が、未来を語る資格なんてない、そう言う人はいると思いますけどね」
『それは君にも返せる言葉なのですよぉ〜』
「貴方ほど残虐ではないですよ」
『あは、もう殺しはやめたのですよぉ〜。
………そういえば、この前読んだ本に幸せについて書いてあったのですよぉ〜』
「幸せなんてつまらないものですよ。
ぼくは救済を求めている人を知っていますがね」
『ああ、
あの子は退屈しか言わないのでつまらないのですよぉ〜。
………まあ、退屈の中で救済を欲する気持ちは分からなくもないのですよぉ〜』
「今度、彼を使ってヨコハマに行こうかと思っています」
『治君に手を出したら許さないのですよぉ〜?』
「太宰君は恐らくこの話に乗ってくるでしょう。
彼は何処まで行っても黒の世界の住人に過ぎない」
『………このままいくと君を殺してしまいそうなのでぇ、話を戻すのですよぉ〜』
「貴方も少しは寛容な人になりましたね。
………怖い顔をしないでください。
幸せに、ついてでしたよね」
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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2020年1月12日 16時