ゲテモノ料理 ページ21
安吾の言葉を遮り、再び部屋に現れたのは陽。
その手には、小さなビニル袋が握られていた。
「それ、なに?」
鏡花の言葉に陽はビニル袋を持ち上げ、にこりと笑う。
『これ、お裾分けなのですよぉ〜。
興味があって作った、マフィンなのですよぉ〜』
「どうぞ」と言って三人にそれぞれ渡す陽。
安吾が袋の中身を覗こうとすると、敦がおずおずと陽に質問を投げた。
「あ、あの……因みに何ですが、味は……?」
『えぇ?
ああ、味なら大丈夫なのですよぉ〜!
私が心を込めて作ったものなのでぇ、きっと見た目が“不味そうでも”美味しいはずなのですよぉ〜』
「………太宰君に料理を教えたのは貴方ですか?」
『あは、治君に教えはしましたけどぉ、あの子はちょっと天才すぎたようなのでぇ。
………毒は入れてないのですよぉ〜?』
首を傾げて苦笑を浮かべる陽。
その笑みに、安吾は嘗ての悪夢を思い出す。
太宰の作った元気水炊きなるもの。
あれを食べた後の記憶がないのが何より怖い。
ゲテモノ料理よりも怖い。
「………はあ、食べて不味かったら、お酒の件は無しにさせ貰いますよ」
『あは、その心配は要らないのですよぉ〜』
やけに自信ありげに言う陽。
これは嘘ではないのだろう。
上手く出来ているはず。
きっと、多分、恐らく。
不安になりつつも陽の家を出た安吾。
安吾に続くように、敦と鏡花も感謝をいい、家を出た。
一人で、マグカップと容器を洗っていると、思わず笑いが込み上げてくる。
『安吾君、いつ気付きますかねぇ〜』
幼稚園児の様な、小さな悪戯を仕掛けた陽だった。
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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2020年1月12日 16時