記憶の回廊 ページ16
．
《＿＿＿＿俺の夢か？》
そう、君の夢。
君の夢を知りたいんだ。
《聞いても面白くなんてないと思うぞ？》
面白くないはずがないさ。
私の唯一無二の友人の夢だ、きっと素晴らしいに決まっている。
《俺の夢はな＿＿＿＿》
矢っ張り、君は面白いじゃないか。
私にはできない夢だろう。
《人を殺す奴に、人の人生を書く資格はない》
だから、君は私に人を殺すのをやめさせたのかい？
私は小説なんて書くつもりは無いというのに。
《お前に人を殺すのをやめさせた理由はもっと違う理由だ》
そうかい。
君も不思議なものだね。
興味深くて、君ともっと一緒にいたくなる。
《今も十分一緒にいるだろう》
そうだけどね。
でも、もっと一緒に居たい。
《一緒にいれたら、な》
＿＿＿＿君のそういう優しい、残酷な所、私は大好きだよ。
＊＊＊＊
《御前さん、未だそんな馬鹿を働いているのかい？》
煩いな。
アンタには関係無いじゃないか。
《全く、君は迷惑な妹だ》
私はアンタの妹になった記憶は一度もない。
家族になった記憶もさ。
＿＿＿＿なのに、なんだってアンタはそんな悲しそうな顔をするんだい？
《これだけは覚えておいてくれ。拙が死んで、御前さんの記憶から拙が消えた時でも》
そんな悲しそうな顔をされて、拒否できると思うのかい？
覚えといておくさ。
《＿＿＿＿御前さんの異能力は美しい。拙は御前さんを世界一大事に思っている》
覚えておくさ。
《もう、人を殺すのはやめてくれないかい？》
覚えておくさ、きっと＿＿＿＿
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作者名：鸞宮子 | 作成日時：2020年1月12日 16時
