闇を彷徨う【文スト】【黒の時代】

第二章:幼いあのときの ページ4

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或る女＿＿＿＿＿＿＿＿＿。



ヨコハマの中心地から少し離れた薄暗い貧民街を、女は歩いていた。

藍色の髪を揺らして。靴音を響かせて。

＿＿＿＿女の名前はA。

まだ少し幼さの残る、齢(よわい)17の女だ。

Aは普通の人間ならば傍を歩こうとも思わない貧民街の或る場所で足を止め、一点を見つめる。

其処には昔、今よりも更に幼い彼女が座っていた。
暴力に頼ることによって生を繋いできた、或る少女が。

女はゆっくりと目を閉じ、瞼の裏に遠い過去を浮かべた。

彼女が見つめていた一点には、控えめな様子で花束が一通の手紙を抱えて、存在していた。

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