誘惑 拾玖 ページ25
小芭内」
名前を呼ぶと色違いの綺麗な瞳をこちらに向け、いつも隠されている口を開いた。
伊黒「冨岡と不死川が帰るのを待っていただけだ。文句でもあるのか」
そう素っ気なく言うと首元に巻き付いている鏑丸の頭をそっと撫であげた。
その言動が小芭内にとっての照れ隠しだと私は知っている。
なんと可愛いことだ。
旦那が可愛くて少し笑うと鋭い目で睨つけられてしまった。
「ごめんごめん、文句ないよ。一緒に居れて嬉しいし。
ね、久々の抱擁は?」
風呂道具を床に置き、試しに両腕を広げるが小芭内は腕を無視してスタコラサッサと横を通り過ぎてしまった。
「ちぇっ、ケチー」
伊黒「なんとでも言え」
仕方なく腕を下げて道具を持った時、突然肩に手を回され
小芭内の元に引き寄せられてしまう。
顔が小芭内の首元に当たって距離の近さに照れていると、
布を外して露出した小芭内の唇が私の右耳に当たった。
「っ………お、小芭内……!」
いきなりの事で頭が追いつけず、思わず手で距離を取ろうとするも
肩に回っていた手が私を逃がしてくれない。
小芭内の熱を含んだ吐息を近くに感じて身体をビクつかせると、小芭内がゆっくりと唇を動かして私の耳元で囁いた。
伊黒「後で声が枯れるほど乱してやろう。覚悟しておけ……A」
そう言うと肩に回していた手を離し、私の腰のラインをいやらしい手つきで撫であげる。
「ひっ………」
擽ったさと僅かな快感に小さく悲鳴を上げて足を震わすと、そんな私を小芭内は面白おかしそうに鼻で笑う。
そして身体が完全に離れる前に私達の唇が一瞬だけ重なり、小芭内は男性用の風呂場に向かって歩いて行ってしまった。
姿が完全に見えなくなるとその場に崩れ落ち、自分の身体を抱き込むように腕を抑えて息をついた。
「っ……はっ………そんな事言われたら、体疼くでしょうが……!」
甘い雰囲気から一変しいつも通りに戻った反動で、緊張していた身体から一気に力が抜ける。
実弥はこういうことをする前は分かり易く、義勇に至ってはそもそもこんな器用な誘い方は出来ない。
だから小芭内は厄介なんだ。
突然誘うにも関わらず、私をその気にさせるのが断トツで上手い。
「(……まあ今回は久しぶりに会えたし、お互いに欲が溜まってるし〜?)」
なんて心の中で自分を正当化しようとするが、明らかに私は小芭内の誘惑に負けてしまっていて虚しくなるだけだった。
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yukino(プロフ) - 初コメ失礼します。 次回予告【中高一貫キメツ学園物語】は番外編のような感じのものでしょうか? とても面白かったので,もしよければそれをメインとした小説が読みたいです。無理なら遠慮なく仰ってください!初コメでこのようなことを言い,大変恐縮です。 (2022年1月17日 19時) (レス) @page48 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
推しが大好き ☆(ゝω・)vキャピ - 何と検索したら裏作品は出てきますか? 教えて下さいお願い致します (2020年6月12日 0時) (レス) id: 636c88982f (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - すいません、ログインしてるのに(裏)がみれないので、URLを書いて、最後にこの文字を付け足してくださいみたいにしてくれると嬉しいです。お願いします。 (2020年4月8日 15時) (レス) id: f60d64b797 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - 情報ちゃん@志麻ワン当選祈願さん» コメントありがとうございます!!!!そうですね!旦那のうち、サネミーだけまだ絡ませてないので早く絡ませたいところ!続編で書きたいと思うので、良ければお願いします!志麻ワン当選お祈りしてますね!!!!当たれ当たれ当たれ!!!!私も頑張ります!!!! (2020年2月23日 20時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
情報ちゃん@志麻ワン当選祈願 - 実弥さんがメイン(?)も書いてくださいな!楽しみにしてます! (2020年2月22日 16時) (レス) id: 856e5af163 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月卯月 | 作成日時:2019年9月8日 19時