幸せの話 ページ3
「分かってるよ……
杏寿郎は強いし、頼れるし、優しいから任されるのは当然だもん…」
煉獄「よ、よもや………」
まさかそんな言葉を言われるとは思ってなかったようで、兄は困ったように苦笑した。
でも顔は嬉しさを隠せていないほど緩んでいた。
俯いているAさんはその兄の表情に気づかないまま言葉を続ける。
「でも、でもさ……やっぱり強いって分かってても杏寿郎には危険なことして欲しくないって思っちゃうんだよ」
煉獄「………」
千寿郎「……っ」
鬼に家族を殺されたAさん。
そしてその鬼がいる所へと自ら赴き戦う鬼殺隊に夫が所属しているとなれば尚更辛いのだろう。
Aさんは指先を何度も動かして気まずそうに視線を泳がせる。
兄はしとろもどろになっているAさんをしばし見つめた後、
そっと微笑んでAさんの傍にいき強く優しく抱擁をした。
「きょっ「俺は此処にいる」!!」
兄に抱かれたAさんの表情は私の位置からはっきりと見えた。
Aさんは様々な感情のせいでぐちゃぐちゃな顔をしていた。
言い表せない表情をしていたのだ。
放心状態のAさんに兄は抱擁を解いた後、
両肩に手を置いてまっすぐと自分の妻の顔を見つめて話し出した。
煉獄「俺は此処にいる。
Aの隣にいる。大丈夫だ、俺は死なない。
約束する」
そう言うと兄は右手の小指だけを出し、Aさんに近づける。
Aさんはそれを見た後、ゆっくりと同じ指を出して二人は指切りげんまんをした。
指切った、と二人が言った時にはAさんの表情は和らいで笑顔になっていた。
兄はそれを見ると嬉しそうに笑ってまたAさんを抱きしめる。
その光景を微笑ましく思っていると、Aさんが私に向かって手を伸ばしてきた。
千寿郎「……え?」
意図が分からず困惑していると、
その様子を見ていた兄と一緒に笑いあって肩を震わせる。
すると兄も私の方に手を伸ばし、
二人が片手ずつ出した事により両手を広げて抱擁を待っているような状態になった。
そこで私はようやく理解したがなんだか恥ずかしくて足が動かなかった。
もじもじしているとAさんと兄は笑って口を開いた。
煉獄「「おいで、千寿郎」」
その言葉を聞いてようやく私の体は二人の腕の中へと動き、暖かい温もりに包まれた。
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春月卯月(プロフ) - フィオナさん» ありがとうございますー!一応最後の展開までは考えているので頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年11月20日 21時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - ユリさん» 気になって下さって嬉しいですー!なるはやで頑張ります!ありがとうございます! (2019年11月20日 20時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - 影姫一閃さん» タイトル悩んだんですよ本当にー!いい話なんて滅相もない!勿体ないお言葉です!ありがとうございます!頑張りますー! (2019年11月20日 20時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
春月卯月(プロフ) - 椿さん» 応援ありがとうございますー!楽しみにして下さって光栄の極み!頑張りますね! (2019年11月20日 20時) (レス) id: e961db7c14 (このIDを非表示/違反報告)
フィオナ - この後の展開が気になります。更新頑張ってください (2019年11月20日 20時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春月卯月 | 作成日時:2019年11月19日 22時