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8話 ページ9

轟side


パシンっと痛々しい音が聞こえる。



「さいってー」

「ごめんね」


頬を叩かれても尚、笑う。

泣きながら走り去っていく女の子を追いかけもせず。


「った〜」

「大丈夫か?」


俺は右の個性を使い、頬を少し冷やす。

じんじんと熱くなっている。


「ちょ〜強ぇ力で叩くじゃん…」


「まぁ、彼女なら大切にしねぇと」


あの言い方的に彼女だろう、と勝手に推測した。

が、大狼はきょとんとして、


「彼女じゃねぇよ?」


と言った。


「…は?」

「何か?好きですって言われてありがとうって言ったら勝手に俺ら付き合ってるって噂されて、でも別に付き合ってねぇから連絡しねぇじゃん?そしたらこんな事態に。笑える」

「……なんか、悪ぃ。何も知らねぇのに知った口聞いた。」


俺がそう言うと、大狼はにぱっと笑って


「気にしてねぇよ。逆に変な所見せてまじ申し訳みたけぇ。」


「……申し訳み?」


「ぶっ、なんでもねぇっす」


大狼は笑う。
あ、これは素で笑ってる。

何か、分かる。


俺は頭を撫でる。


そんな経験は俺にもあるからだ。


好きですって言われて、お礼を言うと勝手に嬉しそうに去って行ったと思ったら次の日、別に付き合ってる訳じゃねぇのに付き合ってるって噂されて放置してたら怒られる。


そんな事あったなぁ…と思いながら頭を撫でる。


ぎゅっと目を瞑った大狼は、やはりある程度暴力を受けているんだろうも思った。


「…俺が、保護したい。」

「いや、俺は捨て犬か。」


そんなつもりじゃなかったんだが。

と言うか声に出すつもりはなかったんだけどな。


勝手に出た。


「守りたい」

「優しいんだな轟サンは。」


「普通だろ。」


「いや〜俺男子中学生だよ?これから食べ盛り反抗期厄介な事が沢山なのに拾いたいなんて思わねぇよ普通。」


自嘲気味に笑う。
そんな顔すんな。


「まぁ、これも縁だろ。」

「そんな言葉で解決しちゃった。」


昨日、家を出てきたこいつと出会った俺、そんな縁で解決してもいいだろ。

簡単な話だ。


ネグレクトだけならこいつの親からこいつを奪ったって問題は無さそうだが、暴力があるならこいつに暴力を振るうことに依存している親が離してくれそうに無いな。

どうしたものか…。


「轟サンってきれーな顔面してんだな。」

「…は」


急にどした。

運転している横でそんな事、言わないで欲しい。



「いや、ふと横から見て思っただけ。」



少し照れくさそうに笑った。

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春千瑠 - めっちゃめちゃ面白いです❗これからも応援します❗更新頑張ってください (2022年12月29日 12時) (レス) @page20 id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
んく - やばい!主人公が好みすぎる!更新、待ってます! (2021年9月5日 20時) (レス) id: 8afb8675a5 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 好きですっ!とても良い作品ですねっ!お気に入り失礼しますっ!更新幾らでも待ってますっ! (2020年3月14日 23時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
アカヤ - かっちゃんとの絡みがめちゃくちゃ可愛いですっ!!これからも頑張ってください! (2019年4月30日 18時) (レス) id: ba5e1e3f04 (このIDを非表示/違反報告)
あげまき(プロフ) - 暗黒破壊神@さん» コメントありがとうございます!!存分の楽しんで頂けたら幸いです…!! (2019年4月7日 4時) (レス) id: 982f0426be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あげまき | 作成日時:2019年2月8日 17時

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