58話 ページ10
「考えましたわね、徳川様も」
「というと？」
「誰を狙うかわからない以上、自分も対象である可能性が高いですわ。それに、時間指定もありませんので、当然いつ狙われるかもわかりません。私たちは、誰かが倒されるまでの間、極限状態でいる事を強いられているようなもの…………自分の怖さを学校中に知らしめるおつもりですわ」
相変わらずの頭の回転の速さに驚く加藤。今日1日、気を付けて過ごさねばと思ったが、旗印を奪われた自分には関係ないかと思い直した。しかし馨は旗印をまだ所持しており、対象になる可能性も高い。
絶対に自分から離れてはいけない……そう伝えようとしたが、加藤の前に馨はいなかった。全く気付かないうちに教室から出て行ってしまったらしい。
探しに行こうにもすれ違いになったら困るので、下手に動けない。
加藤はその場で馨の帰りを待つ事にした。
そんな馨はみやびにこの事を報告すべく廊下を歩いていた。もちろん、警戒は怠らずに。
廊下の奥の方からの野太い悲鳴、階段の方からやや盛大な物音が聞こえたため、隠れて様子を窺う。階段にいるのはどうやら龍造寺のようだ。
「わぁ！ あぁ……！ 竹ちゃん……」
ただ事ではない悲鳴が聞こえ出て行こうとすれば、龍造寺が目の前に現れた竹中に驚いただけのようで、何事もなかった事にホッとした。
「んだよ、うるせえなぁ」
「何だよもう、ビックリさせないでよ。もう」
竹中は階段を下りてきたらしく、廊下にいた馨とばっちり目が合った。
「ん、ふっ……竹ちゃん……！ ふふふっ」
「何笑って……おいお前何つーもん吸ってやがる」
このパンクな見た目で竹ちゃんかぁ、とツボに入っている馨から、竹ちゃん……、もとい竹中は煙管を奪い取り、代わりに包みを剥がした棒付きキャンディーを口に押し込んだ。
「竹ちゃん呼びは許してやるから、お前はその飴でも舐めてろ。これはお前にはまだはや…………かっっっっら！！！」
煙管を吸った瞬間、盛大に噎せる竹中。中身が煙草だとでも思ったのだろう。涙目になりながら噎せる姿は大変レアだ。
「それ、中身はハッカですわよ。それに、竹ちゃん様にだってお早いですからね！」
「…………早く言えや」
「聞く暇もなく吸ったのはご自身でしょうに……」
ど正論であった。未だ涙目のまま煙管を馨に返す竹中。咳はとりあえず落ち着いたようだが、まだ辛いらしく何とも言えない顔をしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 49人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Chiharu(プロフ) - ミルクチョコさん» コメントありがとうございます！ なるほど、須賀君かっこいいですもんね〜！ ドラマ見たあとしばらくハマってました笑 犬飼君とか笑 最近更新なくてすみません！ 読んでくれてありがとうございます😭 (2023年1月13日 22時) (
レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクチョコ(プロフ) - 私は加藤くんですね！Chiharuさんのお気持ちわかります！まあ好きな理由はその役をやっている須賀健太君が好きなだけなんですけどねｗｗ (2023年1月12日 17時) (レス) @page8 id: 90f93b6301 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - オタくん♀さん» コメントありがとうございます！ これからもそう言っていただけるよう頑張りますね！ (2022年12月12日 18時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
オタくん♀(プロフ) - 好きです! (2022年12月10日 20時) (レス) @page30 id: 487a14ebf8 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - ふゆうさん» コメントありがとうございます！ きゅんきゅんゲームはキンプリのライブDVDに収録されているコントコーナーのものです！笑 実際のセリフをほぼ丸パクリしてるだけですので……！ それでも楽しんで頂けたようで幸いです！ (2022年10月22日 18時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Chiharu | 作成日時：2022年10月7日 17時
