54話 ページ6
「明智の野郎……裏切りやがった！」
教室に着くなり聞いたその言葉に、目の前が真っ暗になり気が付けば座り込んでいた。
周囲のざわめきがどこか遠くに感じる。馨の頭はどうして、でいっぱいだった。もう、何も聞こえていない。心配そうに馨の名を呼ぶ誰の声も聞こえていない。
それでも
「馨」
「きよ、まさ……さま？」
加藤の声だけははっきりと聞こえた。自分の両頬に手を当て、安心させようとする彼は泣きそうな、傷付いたような顔をしている。
あの時、明智との契約を辞めていれば。契約を交わそうなどと言い出さなければ。そもそも提案を断っていれば。元凶の自分がいなければ。
そうすれば、加藤にそんな顔をさせなくて済んだのかもしれない。そう思うと、急に自分が情けなくて仕方がなかった。ふらふらと立ち上がり、自分の席から鞄を取る。
「すみません清正様。私、今日はもう、帰ります」
「……1人でも危なくはなかか？」
「大丈夫ですわ。…………ごめんなさい」
馨が加藤から離れて行動したがるところを見るのはこれが初めてで、ただ事ではないと判断するクラスメイト達。何より、あの加藤が送る、の一言もなかったのには心底驚いた。
「そんなに謝る必要はなか」
「それでもです……すみません失礼しま…………」
「だから言っただろう」
教室を出ようとした馨の前に、家康が立ちはだかる。この学び舎において2番目に会いたくない人物が目の前にいる現実に目を背けたくなったが、そうもいかない。無視して教室を出ようとしても、身体全体で通せんぼをしてくるからである。
「クソガキ…………」
思わず口から零れた呟きは、幸いにも誰も聞いていないようだった。
「どいてくださいませんか」
「俺の言ったとおりになったなぁ？」
「どいてくださいまし」
「明智はお前を裏切る、と」
「聞こえないのですか。私はそこをどけと言っているのです」
「俺の元へ来い。そうすれば、お前はもう2度と裏切られる事もなく、期待したもの以上の結果を得ることが出来る」
何を言っても通じない。相手にするのすら面倒。もう、どうでもよかった。
「ハッ……」
乾いた笑みが零れた。
「裏切りも期待外れも、もうとっくに慣れてますわよ。そんな私が、たかがあなた如きの言葉を信頼し、ついて行くとでも？ お前が私を裏切らない保証が何処にある」
あまりにも冷たい声に、その場にいた誰もが声を出せず、また、動けなかった。
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Chiharu(プロフ) - ミルクチョコさん» コメントありがとうございます！ なるほど、須賀君かっこいいですもんね〜！ ドラマ見たあとしばらくハマってました笑 犬飼君とか笑 最近更新なくてすみません！ 読んでくれてありがとうございます😭 (2023年1月13日 22時) (
レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
ミルクチョコ(プロフ) - 私は加藤くんですね！Chiharuさんのお気持ちわかります！まあ好きな理由はその役をやっている須賀健太君が好きなだけなんですけどねｗｗ (2023年1月12日 17時) (レス) @page8 id: 90f93b6301 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - オタくん♀さん» コメントありがとうございます！ これからもそう言っていただけるよう頑張りますね！ (2022年12月12日 18時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
オタくん♀(プロフ) - 好きです! (2022年12月10日 20時) (レス) @page30 id: 487a14ebf8 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - ふゆうさん» コメントありがとうございます！ きゅんきゅんゲームはキンプリのライブDVDに収録されているコントコーナーのものです！笑 実際のセリフをほぼ丸パクリしてるだけですので……！ それでも楽しんで頂けたようで幸いです！ (2022年10月22日 18時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chiharu | 作成日時：2022年10月7日 17時
