36話 ページ38
翌日、加藤と馨は教室に行かず空き教室で暇を持て余していた。
教壇に腰掛け、脚をぷらぷらさせながら飴を舐める。手持ち無沙汰にカードフォンを弄っていると、上杉から連絡がきた。
「旦那様、みやび様が占いをやっているらしいですわよ。それも、ほぼ100%当たっているんだとか。行かなくてよろしいんですか?」
「興味はなか。馨こそ、行きたければ行ってもいいくさ」
「ん〜……私もそこまで興味はありませんわ。未来なんて、知ったところで意味はありませんから」
舐め終わった飴の棒を捨てるべく、空き教室を出る。ごみを捨て終えたところで、酒井に捕まった。
「馨ちゃん見っけ! みやびちゃんに占ってもらいな〜」
「ちょ、私は……!」
「いいからいいから!」
有無を言わさず連行され、現在馨はみやびの前に座っている。
「馨さん、何を占いましょう?」
「いや私は…………」
どうやって逃げよう、としばらく考え込むがどう頑張っても無理そうだったため諦めた。
しかし突然の事で何を占ってもらうかなどすぐには思いつかない。
「そうですわね…………無難に今日の運勢にでもしておきましょうか」
「今日の運勢!? とな!?」
「ええ……え、何か変な事言いました? 私……」
「いえ! 何でもありませんわ! 今日の運勢でしたわよね……」
実の所、みやびの占いは歴史書頼みのものなので、加藤ならともかく情報のほぼない馨を占うというのは至極困難なものだ。それが今日の運勢などと言われてしまえばお手上げとなる。
しかしここまで来てしまえばもう引き返せない。ええいままよ! と、今朝見かけたニュース番組の占いを思い出しながら口を開いた。
「対人関係は良好ですわ。新しい出会いがある予感がします。ですが、その出会いが必ずしもいいものであるとは限りませんのでご注意を。慌てず落ち着いて、物事に取り組むのがいいと出ています。ラッキーアイテムはノートですわ」
「まあ! ありがとうございます、実はノートを切らしてしまっているので、今日買いに行きますわ! その帰りに旦那様と美味しいものでも食べに行きましょう!」
やけに本格的な占いに、馨のテンションが一気に上がった。周囲にいたクラスメイト達もそれを見て、我先にと占ってもらおうとみやびの前に集まる。
「みやび様、ありがとうございました! 私、旦那様に報告してきますわ!」
来た時とは違い、るんるんで空き教室に戻った。
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タカコ(プロフ) - 嬉しいです!楽しみにしてます! (2022年10月6日 11時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» 旗印戦のあれこれは本編にねじ込む予定です。馴れ初めは番外編に入れてもいいかもしれませんね! ご意見ありがとうございます! 近日中に出す続編でも番外編について触れてみようと思います! (2022年10月6日 11時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - はい、最終回後の話やドラマでは無かったオリジナルの旗印戦、加藤くんと夢主ちゃんの馴れ初めなんかを読んでみたいです(*≧∀≦*) (2022年10月6日 8時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» コメントありがとうございます! 今のところ考えてはいませんが、こういうシチュエーションが見たい! という希望が多く集まればやる可能性もあるとは思います。最終回より後の話を番外編にするのもアリですね🤔 (2022年10月6日 2時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - Chiharuさん、一つ質問します。この小説の番外編って作る予定は無いですか? (2022年10月5日 23時) (レス) id: 3e1c504208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chiharu | 作成日時:2022年9月25日 5時