12話 ページ14
「今度はビート対決……本当に自由ですわね」
武田の次は上杉への旗印だった。但し、今回は一対一のビート対決。スクリーンには、ホールでドラムをたたく緑川裕宇という生徒と、順番待ちの上杉の姿が映し出されている。
「あの……旦那様? スクリーンが見えないのですが」
「ああ、見えんくて構わんくさ」
今日も今日とて加藤の膝に座っている馨だが、何故か目を加藤の手に覆われていた。
それもそのはず。緑川という生徒、かなり奇抜な髪型をしている挙句上半身は何も着ていない。
加藤からしたら、そんな奴の姿など馨の視界に入れたくないのだろう。
「よし、終わったくさ。次は上杉……ばってん俺はこんままでもよか」
「そういう訳には参りませんわ。クラスメイトですもの、見せてくださいまし」
渋々。本当に渋々といった風に加藤は手を離した。
スクリーンでは緑川が100点と採点されているところだった。
「これではどう頑張っても、」
「引き分け」
またもやセリフを奪われた黒田が悔しそうに机を叩く。秀吉に何を言ってももう無駄だと理解したのだろう。
「上杉く〜ん……」
「明智……泣くな」
ハンカチで涙を拭く明智の元に、とある男がやってきた。誰あろう、伊達である。
「誰?」
「バッハだ」
「それは、ヨハン・ゼバスティアン・バッハか?」
「……そういう名前なのか」
「知らないでやったんですの……?」
「それでは上杉君、ステージへどうぞ」
上杉の名が呼ばれ慌ててスクリーンを見る。上杉は己が持参した楽器の布を取る。そこにあったのは……
「琵琶?」
そして演奏……
「綺麗……格好いいですわね」
誰もが聞き惚れるような音色を奏でていた。どう頑張っても引き分けかと思われたが、結果は2万8000点。上杉の圧勝に終わったが、教室の一部ではブーイングが起こった。ところで、イチゴちゃんとは誰なのだろうか。
「馨」
「はい旦那様」
「…………」
「あの、清正様……?」
「おそらく嫉妬だな」
「なっ、伊達!」
一瞬ぽかんとした馨だが、すぐにふわっと笑みを浮かべた。
「確かに上杉様は格好よかったですが、私には清正様が一番ですよ」
「…………それならよか」
「ふふ、可愛らしいお方」
「おっ、俺は可愛くなか!」
普段から互いに互いしか眼中にないためこのような事は初めてだった。そのためかいつにも増していちゃついていた。
案の定、井伊に怒られてしまった。何故か本多は羨む目で見ていたが。
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タカコ(プロフ) - 嬉しいです!楽しみにしてます! (2022年10月6日 11時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» 旗印戦のあれこれは本編にねじ込む予定です。馴れ初めは番外編に入れてもいいかもしれませんね! ご意見ありがとうございます! 近日中に出す続編でも番外編について触れてみようと思います! (2022年10月6日 11時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - はい、最終回後の話やドラマでは無かったオリジナルの旗印戦、加藤くんと夢主ちゃんの馴れ初めなんかを読んでみたいです(*≧∀≦*) (2022年10月6日 8時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» コメントありがとうございます! 今のところ考えてはいませんが、こういうシチュエーションが見たい! という希望が多く集まればやる可能性もあるとは思います。最終回より後の話を番外編にするのもアリですね🤔 (2022年10月6日 2時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - Chiharuさん、一つ質問します。この小説の番外編って作る予定は無いですか? (2022年10月5日 23時) (レス) id: 3e1c504208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chiharu | 作成日時:2022年9月25日 5時