10話 ページ12
「どうしてくれましょう……」
「馨、どうするつもりくさ」
「別にどうも致しませんよ? ただ、あの方々に会いに行こうとしているだけで」
「十分どうにかするつもりじゃないか!」
思わず黒田がツッコんだ。それほどまでに今の馨の顔は般若のようだった。
「馨が行ってもどうにかできる相手じゃなか。やめるくさ」
例えあの3人をどうこうできたとしても、他にもまだ大勢いるのだ。そうなった時に怪我をするだろう事は目に見えている。加藤はそこを心配し馨を止めたのだが……
「そうだよ山崎。山崎は身長小さいんだから、あの3人に向かっていくにはちょっと心配だな」
「せやで馨ちゃん! 馨ちゃんが怪我でもしたら俺泣いてまうわ!」
「…………わかりましたわ、ここで大人しくしています」
今は、という一言を馨は飲み込んだ。後日、3人の特徴から名前を割り出した後、旗印戦を申し込みコテンパンにしたのは別の話である。
飴も食べ終え暇そうに足をぷらぷらさせていると、ようやく事態が動き出した。
「あら。やっと、ですわね」
旗印戦開幕からおよそ1時間40分後。ようやくトイレのドアが破壊された。
「やはりトイレの往生は狙いだったかあ」
「どゆこと?」
「あそこのトイレの扉は頑丈だ」
いくら鎖が巻いてあったとはいえ、あまりにも頑丈すぎではないだろうか。
「頑丈だよね」
「それを利用して連中を疲れさせた。そして敵の人数を減らし……」
「ガッツリ減らしたなぁ」
「さすが我がライバル」
そして、武田が下ではなく上に逃げたのは、狭い階段を利用するため。
「やはり狭い階段なら1対1になる……」
「つまりタイマンになって負けることはない! そういうことや黒田〜!」
「っお前さぁ絶対1人っ子だろ!?」
「んふっ」
今日は本当によく笑うなと、また背中をとんとんと叩きながら加藤は思う。自分が笑顔にしているわけじゃないのが悔しいが、数日前また傷付いた彼女が笑ってくれているならいいか、とも思った。
「屋上……もう逃げ場はありませんわね」
まだ残り時間はある。どうするつもりだろうか……武田は何と、小さな布で宙を飛んだ。
「わ〜! 人間、生身でも飛べるのですね!」
「ぜっっっっっったいに真似しちゃいかんくさ!!!」
今にも屋上まで駆けて行きそうな勢いの馨に慌てて釘を刺す。流石に教室にいた全員が頷いた。
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タカコ(プロフ) - 嬉しいです!楽しみにしてます! (2022年10月6日 11時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» 旗印戦のあれこれは本編にねじ込む予定です。馴れ初めは番外編に入れてもいいかもしれませんね! ご意見ありがとうございます! 近日中に出す続編でも番外編について触れてみようと思います! (2022年10月6日 11時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - はい、最終回後の話やドラマでは無かったオリジナルの旗印戦、加藤くんと夢主ちゃんの馴れ初めなんかを読んでみたいです(*≧∀≦*) (2022年10月6日 8時) (レス) id: e1a7229537 (このIDを非表示/違反報告)
Chiharu(プロフ) - タカコさん» コメントありがとうございます! 今のところ考えてはいませんが、こういうシチュエーションが見たい! という希望が多く集まればやる可能性もあるとは思います。最終回より後の話を番外編にするのもアリですね🤔 (2022年10月6日 2時) (レス) id: 7076ed243d (このIDを非表示/違反報告)
タカコ(プロフ) - Chiharuさん、一つ質問します。この小説の番外編って作る予定は無いですか? (2022年10月5日 23時) (レス) id: 3e1c504208 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chiharu | 作成日時:2022年9月25日 5時