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「 くしゅっ 」
いけない、私も身体を拭いて着替えないと風邪を引いてしまう。
あとはそうだなぁ、このびしょびしょの廊下を掃除でもしようかな。
お風呂場からシャワーの音が微かに聞こえてくるのを確認してから、私は水分を含んですっかり重たくなった制服を脱いで洗濯機の中に放り込んだ。
脱衣場のカゴの中には、男の子の衣類が入っていて、それらも洗濯機に入れてスイッチを押す。
「 くしゅんっ！ 」
部屋着に着替えてからびしょびしょの廊下を拭き終え、リビングでココアを入れた頃に、私の服に身を包んだ彼がやってきた。
「 良かった。サイズ、丁度よさそうだね 」
「 うん… 」
「 ココア入れたの。どうぞ 」
座るように促すと、少し悩んだ後に彼は私の正面のソファに腰掛け、テーブルのマグカップを手に取った。
「 おまえ 」
「 ん？ 」
「 髪が、びしょびしょだ。おまえも、濡れたんだろ 」
「 うん。すごい雨だったね 」
「 風呂、入ったら 」
「 うん。ちょっと寒いし、入ってこようかな。ゆっくりしてて 」
バスタオルで身体を拭いたくらいでは奪われた体温は戻ってこない。
私はまたくしゃみを一つして、彼をリビングに残してお風呂場へ向かった。
少し位置がズレているシャンプーとリンスを見て、ふと、この部屋に人を招いたことが初めてだということに気がつく。
咄嗟のこととはいえ男の子を部屋に上げるだなんて、自分はやはり後先考えない性格だ。
「 とりあえず彼を家までちゃんと送り届けないと。深入りはせずに… 」
ドライヤーで髪の毛を乾かして、櫛で軽く梳かしてからリビングへと戻る。
彼はソファに腰かけたままぼーっと虚空を見つめていたけれど、テーブルの上のココアは空になっている。
「 落ち着いた？ 」
「 あ 」
「 もう雨は止んでるよ。帰ろっか。送っていくよ 」
「 いやだ 」
「 えっ？ 」
初めて彼が自分の意思を見せた。
どうして、とその瞳を見つめると、彼は膝を抱えてそこに顔を埋めてしまった。
「 父さんが怒鳴るんだ。おれだって分かってる、このままじゃダメだって。でも怖いんだ。制服を着て、靴を履いて、玄関に立ったら、身体が震えて動かなくなる 」
「 帰らないと心配するよ 」
「 今はひとりになりたい 」
「 そう。じゃあせめて連絡はしよう？ 連絡先は分かる？ スマホ、持ってる？ 」
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ここち(プロフ) - momoさん» momoさんコメントありがとうございます！ 自己満小説になっていないかと思っていたので、そういった意見をいただけて本当に嬉しいです。とても励みになります。これからもよろしくお願いします。 (2021年10月3日 14時) (
レス) id: c2fb8c431e (このIDを非表示/違反報告)
momo - めっっっちゃ好みです。。。Knights大好きだし話の展開っていうかもう色々ドストライクすぎてイッキ読みしてしまった、、あと泉くんイケメンすぎて惚れました…続き凄く楽しみです！更新頑張って下さい！！ (2021年10月3日 1時) (レス) id: d97a5a4175 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリ | 作成日時：2021年9月23日 4時
