いや、ただ偶然出会っただけだけど。【灰谷蘭】

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先行く2人を追いかけながら、
「これ、私と優希の分のお金…」と
蘭にお札を差し出した。




「え？」


振り返った蘭はなんで？？って顔をしている。
いや、逆にこっちがなんで？？？だわ。





『別に蘭が払う必要ないし…
弁償だって元はと言えば、』


「金払う気なんてねーよ」





え。

今、金払う気なんて無いって言った？？？



思わず立ち止まってしまった。





「アイツら伸して金ぶん取ればいいし」


『』





そうだった。
この2人、根っからの不良だったわ……。




『私と優希が食べた分だけでもさ…』




そう言いかけると竜胆が振り返って首を傾げた。
え……そのアングルやばい、写真に収めたい。



「だったらさ、オマエだってその優希ってやつの分
払う必要なくね？」



『……、』





言われてみればそうだ。

お金を払ってくれないのは今回に限らず、
今までにも何度かあった気がする。





「彼氏って毎回こうなの？」



眉間に皺を寄せながらそう尋ねてきた蘭。






『うん』



今更どうしようも無いし、
自嘲気味に笑って頷く事しか出来なかった。





「……ふーん。
だってさ、竜胆」



「どうする？」



「んー？……彼氏なんか関係ねぇよ」





目を合わせて笑顔を浮かべる2人。
え？？なんの意思疎通ですか？？





そんなこんなで話をしていたらあっという間に辿り着いた薄暗い路地。


その片隅にヤンキー座りをしている先程の2人が居た。





「遅せぇよ！」



待ちくたびれた様子で立ち上がった2人は
ずんずんとこちらに近づいてくる。




対する蘭と竜胆はポケットに手を突っ込んだまま
近づいてくる男たちを見つめている。




私はもちろん壁に寄り添って体育座りだ。(弱)






「なぁ灰谷ぃー」



そう言った男は笑いながら私に目を移した。





「お前らが負けたらその女こっちに寄越せよ」


「……はぁ？」




ずっと無言だった蘭が反応した。





「そいつあれだろ…“花谷A”だろ？
噂をよく耳にすっからな」




噂とは。
私は喧嘩なんて出来ないし噂になるようなことは何もしていない。


強いて言うなら“灰谷兄弟”と知り合いになったって事くらいだ。





「かわいーって有名だもんな
俺の高校の奴らもよく見に行ってたらしいわ」


「……で？」




だるそうに返事をした竜胆。2人の目がだんだん死んでいってる気がするけど大丈夫そ？






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