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『……あの』
「ん〜?」
あの店の店主のおじさんが言ってた事……
もう気になって仕方がないのでニコニコと笑顔のままの童磨に抱き着きながら尋ねてみる。
『……私のこと、どう思ってるの?』
私の心臓がどきどきした。
こんな事を聞くのは初めてだったから。
すると私の頭を撫でる童磨の手がピタリと止まった。
そして静まり返る店内。
あれ、そういえばずっと店の中に居るけどいいのかな
この部屋には誰もいないけど、
奥の方には人の気配がある。
そりゃそうだ、さっきだって童磨が奥の部屋まで簪を取りに行っていたんだから。
「……どう思ってる……か」
頭上で童磨の掠れた声がする。
童磨の手は私の頭から降ろされ、次は背中に回された。その手は動くことも無く背中に添えられてるだけ。
もう撫でてはくれないのか。少し寂しいな
勇気を出して、“撫でてほしい” なんて強請ってみようと童磨の顔を見上げた時だった。
「うーん……思うことは何も無いかなぁ」
先程と変わりなく笑顔を浮かべる童磨の口から放たれたその言葉。とても無機質な声で嫌に脳裏に響いて聞こえた。
私にとってそれは残酷な言葉だった
それと同時に、彼らしいとも思った。
そうだった、彼はこういう
“何でもいいから、思うことくらいあってほしかった”
なんて。
私は少し、期待してたのだ。
こんな事を思うのはかなり厚かましいけど
彼は私の事を少しは好いてくれてるのかな、
だなんて。
「あれ、震えてる?……寒いの?帰る?」
『…』
彼は今まで何を思って私と接してきたんだろう
あの時の接吻だって、この贈り物だって、
あの言葉やその言葉…童磨の私に向ける表情だって。
あぁでも、私はどこかで感じ取っていたのかも。
「あれ、どうしたの?」
『……』
呆気にとられ、ずっと何も言わない私を離した童磨は
少し屈んで私の顔色を伺ってきた。
『……童磨は……罪なひとだねぇ』
「……?」
私も童磨に合わせて、笑顔をつくってみせた。
きっと、それすらも何も思われない。
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おもち(プロフ) - ゆめふひさん» そうなんですよッッッッ!!?下心丸出し仲間ですね!!!(o´艸`) (2019年12月16日 21時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
ゆめふひ - 実はお互いに、鬼だから.........。と思っているけどその感情にきずいてないだけなんですね!!素敵(///ω///)抱かれたいわ(照)(いつもの下心) (2019年12月16日 21時) (レス) id: 027152ac96 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - ももさん» わわわわかってくれたんですか……!!!?感激すぎる……゚(゚´Д`゚)゚。ですよねですよね!!?(自分で言う)こんな童磨萌えるなぁと思いましてッッ!!! (2019年12月16日 21時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
もも - 「取られたから」ってヤバイ!!(独占欲…)そんな素晴らしい言葉があったとは!! 離れた時間が愛を育てる感じがたまらないですね(>_<) (2019年12月16日 19時) (レス) id: 059a63c2b5 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - setuna7014さん» あぁぁぁあ!!!!(汚い高音)本当ですね!!!!間違えてます!!ありがとうございますッッ!!!!(〃▽〃) (2019年12月14日 19時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち | 作成日時:2019年12月1日 20時