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箱の中には
玉簪、平打ち簪、バチ型簪がそれぞれ入っていた。
高価そうな、細かい細工が施してある。
『……凄い、』
とても綺麗で、目が離せない。
「それ、ちゃんと手元…」
『是非大事に持ち歩かせて頂きます。』
「あれ、俺まだ何も言ってないんだけど…」
ていうか髪に飾らずに持ち歩くんだ、と言って笑う童磨に歩み寄り、その胸に顔を押し付けてみる。
そしてスリスリ。……心地がいい、最高だ。
「どうしたんだい?」
『あの、夢なんですかねこれ』
苦笑いを浮かべる童磨。
いや、もう本当に嬉しすぎて夢なんじゃないかって思ってしまう。
こんな細々に細工が施されてある綺麗なもの。
セットになってるなんて…相当な値段なんだろうな
どうしてそんな高価なものを私なんかにくれるんだろう?童磨にならもっとふさわしい人が居そうだけど。
前の簪だって高級なものに違いなかった。
それなのに私は壊してしまった。
……思い出して、落ち込んでしまう。
「ほらA、顔を上げて」
『……ふぇい』
間抜けな返事をして言われた通り顔を上げると
童磨の優しい目と目が合わさった。
微笑む童磨はとても綺麗。
「そんな顔しないでよ」
よしよし、と彼は少し困ったような表情で私の頭を撫でる。とても優しい触れ方で心が落ち着いた。
『いや、でも本当に申し訳なくて。
前にもらったあの簪だってあんな事に……
こんな綺麗なものを貰う資格なんて私には、』
「Aに持っていて貰いたいんだよねぇ、俺は」
私の言葉を遮るように口を開いた童磨。
無邪気な笑顔を浮かべながら。
『……いいの?私なんかが持ってても』
「虫除け……いや、魔除けだから。」
童磨は屈託なく笑うとその綺麗な指で私の顎を掬う。
「本当は前に君が言っていたように
着物でも紅でも良かったんだ」
……んん?
「出かける時は、それを必ず持っていってね
どうせ俺もついて行くけど」
童磨がつらつらと謎な言葉を並べていく中、
その言葉を頭で理解していくのが困難な私。
『……あ、蓮の花だ。すごく綺麗』
手元の簪にもう一度目を移せば自然とその模様に目を奪われる。
簪に描かれてある綺麗な蓮の花。
まるで童磨の扇みたいで……
童磨の………
………………ん、童磨の?
「それを離しちゃいけないよ
お前は俺のものなんだから」
童磨は私を見つめ、ニヤリと笑った。
__ “独占欲”
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おもち(プロフ) - ゆめふひさん» そうなんですよッッッッ!!?下心丸出し仲間ですね!!!(o´艸`) (2019年12月16日 21時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
ゆめふひ - 実はお互いに、鬼だから.........。と思っているけどその感情にきずいてないだけなんですね!!素敵(///ω///)抱かれたいわ(照)(いつもの下心) (2019年12月16日 21時) (レス) id: 027152ac96 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - ももさん» わわわわかってくれたんですか……!!!?感激すぎる……゚(゚´Д`゚)゚。ですよねですよね!!?(自分で言う)こんな童磨萌えるなぁと思いましてッッ!!! (2019年12月16日 21時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
もも - 「取られたから」ってヤバイ!!(独占欲…)そんな素晴らしい言葉があったとは!! 離れた時間が愛を育てる感じがたまらないですね(>_<) (2019年12月16日 19時) (レス) id: 059a63c2b5 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - setuna7014さん» あぁぁぁあ!!!!(汚い高音)本当ですね!!!!間違えてます!!ありがとうございますッッ!!!!(〃▽〃) (2019年12月14日 19時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもち | 作成日時:2019年12月1日 20時