１３４ ページ35
･
「ねぇA」
『なんですか』
私に覆いかぶさったままの童磨が口を開いた。
「何か喰べないとダメだよ」
『今はいいや』
何故か今は何も喰べる気にならない。
血さえもいらない。
そういった自分の気持ちを伝えるべく、
童磨の背中に回した腕に更に力を込めた。
「どうしたものか…」
声のトーンが低くなったものだから、思わず童磨から腕を離して顔色を伺うと やっぱり暗い顔をしてる。
というか、困り顔？
『……。』
彼にそんな顔をさせたくない私は童磨から腕を離した。童磨の冷たい体温の感覚が消えて寂しい。
何故ここまで彼から離れたくないのか。
それはきっと、先程の戦いで嫌なことを思い出してしまったからだろうな。
今となっては昔のことで、気にすることも考える必要も無いのだろうけど思い出してしまえば頭にこびりついて離れない。
「……」
食欲も無く、まだ毒が体内に残っているのか体が少しだるい。
鬼になって初めてだ、こんなだるいとかいう感情を覚えたのは。あの蝶々みたいな子、さすが柱だ。
回復しようとしているのか睡魔が私を襲う。
目を閉じようとした時、
ブツリ、と肉が裂ける音がした。
「ん」
『いや待って？』
童磨が自らの腕を噛みちぎったのだ。
おかげで眠気が吹っ飛んだわ。
噛みちぎった肉は恐らく口の中。
何故か寝たきりの私に顔を近づけてきた。
……童磨の腕はもう再生している。
「……早くってば」
『ままままま…！』
手で制するも遅く。
逆にその手は童磨に抑え込まれた。
『……っ』
結局、童磨に口付けされる。
あ、いつも荒々しいのしかしてこないのに今回は優しい……なんてときめいていた時。
私の口の中に何かを押し込まれた。
それと同時に血の甘い味が広がる。
『ど……っ』
まさか、さっき食い千切ってたのを…！
「……んー、これくらいはちゃんと喰べてよね
何も喰べないのは良くないよ？」
『……！……っ！！』
「え？どうしたの？」
口移しぃぃぃぃぃ……！
荒々しい接吻じゃなくて気を抜いていたのが間違いだった。
もっと素晴らしいものが私を待ち受けていたのだ。
「俺の味はどうだった？」
興奮が収まらない私に追い打ちをかけるように
童磨がいたずらっ子の様な笑顔を浮かべ首を傾げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1492人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おもち(プロフ) - ゆめふひさん» そうなんですよッッッッ！！？下心丸出し仲間ですね！！！(o´艸`) (2019年12月16日 21時) (
レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
ゆめふひ - 実はお互いに、鬼だから.........。と思っているけどその感情にきずいてないだけなんですね！！素敵(///ω///)抱かれたいわ(照)（いつもの下心） (2019年12月16日 21時) (レス) id: 027152ac96 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - ももさん» わわわわかってくれたんですか……！！！？感激すぎる……ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ですよねですよね！！？(自分で言う)こんな童磨萌えるなぁと思いましてッッ！！！ (2019年12月16日 21時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
もも - 「取られたから」ってヤバイ!!(独占欲…)そんな素晴らしい言葉があったとは!! 離れた時間が愛を育てる感じがたまらないですね(>_<) (2019年12月16日 19時) (レス) id: 059a63c2b5 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - setuna7014さん» あぁぁぁあ！！！！(汚い高音)本当ですね！！！！間違えてます！！ありがとうございますッッ！！！！(〃▽〃) (2019年12月14日 19時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おもち
| 作成日時：2019年12月1日 20時
