【鬼滅の刃】彼をどうしても振り向かせたい 弐【童磨】

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私は涙を拭きその場から離れ、言われた通り隠れることに。




そしてもう一度鳴女ちゃんの琵琶が響くと同時に無惨様の目の前に童磨が現れた。




『ど……、っ』





思わず童磨に駆け寄りそうになったが今は我慢。



童磨はポカン、とした表情で突っ立っている。
その姿がとても可愛い。

そして鼻をスンスンと動かし一瞬顔を歪めたのを
私は見逃さなかった。







「童磨」



そんな童磨を見つめ、口を開いた無惨様。



「何かございましたでしょうか？」




座り、笑顔を作る童磨。
そのニコニコ顔かわいい……！


ってそんな場合じゃない。
無惨様は童磨に何をしようって言うんだ。







「Aを殺した」







次に放たれた言葉がこれ。




ただただ、私の開いた口が塞がらない。






「……は、い、……へ？？」





ほら、童磨も動揺してる。
思考が追いついていない！




「私に二度同じ事を言わせるつもりか？」


「……Aを、殺した？
そ、そのようなご冗談…………」





笑顔を無くし、無惨様をじっと見つめる童磨。
あの無惨様が冗談なんて言うはずが無いことは分かっているだろう。



でもこれは嘘です、私生きてるよ……




「………………何故……」



目を伏せた童磨。
無惨様は笑みを浮かべながらそんな彼を見つめる。




「私はあいつはもう必要ないと判断した。
だから殺した」




童磨は目を伏せて動かない。

……どうしたのだろうか？





「でも……まだ新しい、Aの匂いが、」





途切れ途切れの声が静かに響く。

先程鼻を動かして顔を歪めたのはそれだったのか。



さすがにこれを指摘されれば無惨様でもネタばらしするだろう……なんて思ってしまった私が甘かった。






「匂いの元は恐らくこれだろう」




『え？』(小声)






そう言って無惨様は童磨に手を伸ばす。

そして手を広げた童磨の上に、何かを置いた。





『……あれ』(小声)





それは正しく、
私の手に握られていたはずのバラバラの簪。


一体いつの間に……。









「…………これ、は………」





シンと静まり返った空間の中、
響いたのは童磨の小さな声。

童磨はそれを握り締め、顔を上げると無惨様を見上げた。







「……彼女は、貴方様の何か気に障るような事でも？
それとも気に食わない態度を、」






食い気味に無惨様に問いかける童磨。
無惨様にこんな態度を取る童磨は初めてだ。

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