８５ ページ36
･
山を下り街に出るとその場所は相変わらず賑わっていた。
今日も多くの人が行き交っている。
私もその人波に違和感なく紛れるように人間に擬態して早足で歩く。
擬態と言っても顔はそのままで、牙と爪だけを人間のそれに似せているだけだ。
無惨様の擬態……特に女性は素晴らしい出来で
私でも惚れ惚れしてしまう程綺麗。
私もあんな風になれば童磨も振り向いてくれるかなぁ、なんて何度も思ってしまう。
とにかく綺麗で羨ましい。
そんな事を考えながら店を見て回っていると、
ある店の売り物に目がとまった。
『……綺麗だなぁ』
その店の売り物は全て贈り物にぴったりなものばかり。
でもピンとくるものがない。
「どうしたんだいお嬢ちゃん
何か欲しいものでもあるのかい？
それとも、贈り物かな？」
私に話しかけてきたのは店主と思われる年配の男性。
ちょっと厳ついな。
『贈り物なんですけど、どんなものを贈ればいいのか分からなくて。』
「ほう、そうか……。相手は女？男？』
『男です。イケメンです。
みんなが惚れ惚れする程の顔立ちしてます』
「そうかい」
おい待て、なんだその顔は。
すると次にその男は「婚約者かな？」なんて聞いてきた。
その問いかけに驚いて返す言葉を探していると
「簪は相手に貰ったものかい？」と私の簪を指さした男。
『貰いました。
何か、魔除けのような効果があるとかなんとか……』
「何言ってるんだい？熱は無さそうだけど……」
しばくぞ。そろそろ。
「男が女に簪を贈るのには意味があってなぁ
“綺麗なお前の髪を乱してみたい”
“一生を添い遂げたい”
そんな意味が込められているんだぜ」
『へぇ〜……そうなんですか……
……え？乱す？』
このおじさん、今何と？
「そうそう、“綺麗なお前の髪を乱してみたい”
着物を贈る時は “脱がせたい”
紅を贈る時は “唇を吸いたい”
……と、いろいろ意味があって、」
『わぎゃぁぁぁぁ！？』
「な、なんだい…」
な、ななななんて破廉恥な……っ
でも、でもでもでも、童磨はそんな事ひとつも考えてないと思うなぁ！？
だってあの童磨だ。
……うん、そんな事考えないと思う。
と、急に冷静になった私。
「まぁ要するに、結婚して欲しいって事だな
あと独占欲の現れ」
『それはありえ無いと思います』
真顔で言い放った私。
「どうしたんだ急に！？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1183人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おもち(プロフ) - るみさん» おおお……！！！コメントありがとうございます……ッッ！！！こちらこそ感謝です……っﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2020年1月4日 15時) (
レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 今ここまで読んで見ましたが……私の想像以上に最高の作品でした！！書いてくれた作者さんありがとうございます！！ (2020年1月4日 13時) (レス) id: b36153d67a (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - クラゲさん» ヒビが……(´・ω・｀) (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - うささん» そそそそそんなに！！！？滅相もない！！！(；▽；)嬉しいですぅぅぅぅぅありがとうございますぅぅう！！！！ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - paopaoman217さん» え！？ありがとうございますっっ！！！！ヽ(；▽；)ノ更新待っててくださいね〜！！(≧▽≦) (2019年12月1日 18時) (レス) id: 9123ab14eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おもち
| 作成日時：2019年11月17日 23時
