【鬼滅の刃】彼をどうしても振り向かせたい 弐【童磨】

５０ ページ1

･



名を呼ばれ振り返ると、やはりそこには歳の若い信者の男が立っていた。


恐らく二十歳中間ぐらいの人間……かな？






「あの、A様……？」



『あっ、ごめんなさい。ぼーっとしてました』





あまりにもジロジロと見つめすぎてしまった。
でも若くて美味しそう。






「教祖様と外出されていたんですね。」



『うん。えーっと……月を見に行ってたの』





先程童磨が言ってた言葉に合わせる。


最近はしょっちゅう外出してるから怪しまれているのだろう。




「教祖様は月がお好きでしたよね
A様もですか？」



『月は好きだよ。
教祖様が月見るの好きだから私も好き』





童磨が夜、屋根に登り月を見上げているのを私は知ってる。
だから私も、いつもその隣にお邪魔するのだ。






「A様は教祖様を想っているのですね」



『えっなんで分かっ……あ。』




突然言われた言葉に対して思いっきり反応してしまった私。

今ここに童磨がいなくて良かった、聞かれていたらいじり倒されていただろう。







すると私の反応を見てクスリと笑った男。




「私の部屋に来てください、お茶と美味しい和菓子をお出しします」




今は人のお肉が食べたいんだけど、
まぁいっか。少しでもお腹を膨らませておこう。





『お言葉に甘えて』






童磨と女の存在を頭の片隅に追いやって、
男の後をついて行く事にした。





すると、男が前を向きながら口を開いた。



「あなたは本当に可愛らしいお方ですね」



『え！？』





急に何を言い出すんだこの人間は。
さっきから驚かされてばかりいる。






「教祖様と一緒にいる時の貴方のお顔はとても美しい……。いつも、そう思ってるんですよ」



『あ、ありがとうございます……？』





この人には羞恥心というものが無いのだろうか。
さすがの私でも童磨にこんな事は言えないぞ。



っていうか私って童磨の隣に居る時いつもどんな顔してんの？この話を聞いて、すごく気になってしまった。






「私の部屋はここです。」



『……失礼します』





人間の男の部屋に入るのは初めてだ。
……って言っても、この屋敷の部屋の作りはどこも似たようなもの。





「どうぞ、お座り下さい」



『あ、失礼します……？』





どうしても返事が疑問形になってしまう。


こんな風に信者と長く話すのは久しぶりだからなぁ。

５１→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す