【鬼滅の刃】彼をどうしても振り向かせたい 壱【童磨】

２６ ページ27

･



その日を境に童磨の私への態度は柔らかくなった。
二人きりのときは。





「教祖様、聞いてください！」



「どうしたんだい」





信者が部屋へ入って来る度、童磨に話を始める度、
童磨は私へ向ける目とは違う目で信者を見つめる。


いつも何を考えているのか分からない彼だから
その時も何を考えているのか私には分からない。





「愚かだねぇ」




信者が部屋を出ていったあと彼はいつもそう呟く。





『私は？』


「君は関係ないじゃないか」





っていうことは私は愚かではない、と受け取っても良いってことか。

でも関係ないって切り離されるのは少し寂しいかな。





『童磨って言葉遣いが綺麗だよね
育ちがいいの？』



「え、そうかな？
育ちは……うーん、どうだろうね」





苦笑いする童磨。
男ってみんな言葉遣いが汚いものだと思ってた。

今まで出会ってきた鬼殺の剣士の男たちはみんな口が悪かった。

暴言ばかり吐かれたし。





『……だから童磨は特別』



「ん？何の事？」



『結婚しようか』



「唐突すぎない？」






童磨は私に冷たく、無視することだってあったけど
暴言を吐いたり暴力を振るったことはなかった。
あ、腹パンは無しで。



童磨は私の事をどう思っているのか正直気になる。
かなり気になる。





『童磨は私の事が好きですか』



「どうしたのいきなり。好きだよ」



『ぐっ……』



「え？」






童磨は頭を抱えて悶え出す私を見て
不思議そうに首を傾げている。



はい、「好きだよ」頂きましたー！！





『もうこれは結婚するしかないんじゃない？』



「何言ってるの？大丈夫……？」



『普通に心配された』





逆に傷付くわ。






『その好きってどんな感じ？』



「え？……え、どうなんだろう？」





どうやら童磨も分からないみたい。

確かに、私たち鬼にはそういう無駄な気持ちは必要ないんだろうね。


鬼舞辻様には相談しようとすると「くだらん、帰れ」って言われるしね。






「まぁ、生かしておきたい存在ではあるかな」



『いやそれどういう存在？
逆に何をやらかしたら殺されるの？』



「あはは」




笑い事じゃない、私の命が賭けられてる。






「逃げたら殺すよ」



『いやいや、そんな事は無いって。
童磨から1分たりとも離れたくないからね』



「怖ー」



『自分で言っといて！？』




･

２７→←２５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す