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黒い笑みを浮かべたまま。彼は、まず名前を名乗った。
うらた、というらしい彼は、薬を盛ったとカミングアウトされ酷く動揺する私をガン無視してペラペラと喋り続けた。自分が幹部のリーダー的存在なこと、坂田さんの頭脳と才能のこと、坂田さんが今現在相対しているマフィアに乗り込んでいること。
まとまった話を妙に良い滑舌で進めているのに、その内容は全くもって頭に入って来なかった。けど淡々と話す彼が恐ろしくて、質問なんてできなくて、私のペースはぐっちゃぐちゃに乱される。
でも、最後だけはすぅっと脳に入り込んできた。
…ズボンが、下がるわけがないと、うらたさんは言った。
「高校生はあんまりスーツベルト付けないからわかんないかもしれねぇけどさ。毎日のように付けてる俺らマフィアからしたらおかしいわけよ。そもそもベルトってズボンが下がらないようにするモンだし。…なぁ、本当はエレベーターの中で何があった？お前は、お前らは何を企んでる？」
「ちょっ…、ちょっと待ってください。でも私…！」
「こっちは質問してんだけど？」
機嫌を損ねたというように、うらたさんは笑顔を消して頬杖を付いた。部屋の温度すら数度下がったように感じる鋭い雰囲気に怖じ気づいて、ひっと身体を震わせる。
意味がわからなかった。だって、あの時絶対に、私は坂田さんのズボンを下げてしまった。そうじゃなかったら、私は今こんな所にいない。ベルトの事はよくわからないけど、ズボンを下げてしまったことはどうしようもなくくだらなくて、取り返しのつかない事実で。
「ほっ、本当に知ら…」
「何？知らないの？何を知らないの？答えになってないよそれ頭悪ぃなお前。わかりやすく説明しなきゃ駄目？お前は噓吐いてんのかって聞いてんだけど」
「っ、吐いてません…」
声のトーンは落ち着いているのに怒鳴りつけられるよりも恐ろしくて、やっとそれだけ口にした。うらたさんは不機嫌な顔を継続させたまま腕を組んで、ベットサイドの花瓶に一輪挿しされたバラを睨みつける。
この状況では、とてもじゃないが口を開けない。何を盛ったのかだとか、聞きたいことは山ほどあるのに。
緊張のしすぎでゴクリと喉を鳴らしたとき。
何かが爆発したような恐ろしい音が、ドアの向こうから響いた。びっくりしてそちらを見やると、もうドアは派手に破られており、その機能を失っていた。
「おはよぉさんです〜。うらたさんと…、人質さんもおるじゃないですか」
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ろんでるで(プロフ) - 愛河Ayaさん» コメントありがとうございます〜！書き方は少々工夫しているので、そう仰って頂き光栄です。応援ありがとうございます！ (2022年1月16日 11時) (
レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
愛河Aya - 書き方が好みなのとお話やパロがすごく好きです！更新頑張ってください！応援してます！ (2022年1月15日 23時) (レス) id: 46595dc54d (このIDを非表示/違反報告)
ろんでるで(プロフ) - ハツル氏さん» コメントありがとうございます〜！更新頑張りますね。応援ありがとうございます！ (2022年1月8日 0時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
ろんでるで(プロフ) - 凛月花さん» コメントありがとうございます〜！描写や構成は力を入れた部分なので、お褒めいただき嬉しい限りです。前作に続きお読みくださりありがとうございます！ (2022年1月7日 23時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
ハツル氏 - いつも応援してます！更新頑張ってください！ (2022年1月7日 20時) (レス) id: 5982f92ed4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろんでるで | 作成日時：2022年1月6日 18時
