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体内時計って本当に便利だった。
坂田さんは昨日バラを渡した後すぐに行ってしまった。残された私はいくら豪華な部屋だからとはいえすることが無く、うだうだ二週間後の未来に不安を抱いているくらいなら、とベットにダイブ。精神的に相当疲れていたらしく、気絶するかのように眠りこけて気づいたら朝になっていた。
まだ太陽は下のほうにいるから、多分七時位だと思う。下手に午後まで寝てるより良かったかなっていうのと、寝てた方が気が楽なんじゃないかっていうのがシェイクされて、寝覚めはあまりいいとは言えない。…バラ花瓶に挿しとくか。
お腹すいたなぁ、朝ごはんってどうなるんだろう。昨日は坂田さんに「夜ごはんいる?」って聞かれたんだけど、食欲が沸かなくて断ったのだ。夕飯でも晩メシでもなく夜ごはんというのが坂田さんらしいと思ったのは置いておいて、朝は流石に食べたい。
ここでタイミングよく、コンコンとノック音がした。ドア越しに朝食がどうのこうの仰っているのだが、これは開けていいんだろうか。坂田さんに絶対開けるなって言われたよね…。いやこの場合はセーフ…?わからん、どうしよう。個人的にはお腹が空いたので是非とも開けたいんだけど。
心の中でアタフタしている間に「寝てんの?入るよ」と苛立ちを含んだ声がした。と思えば一瞬でドアが開き、小柄な男性が姿を現す。
え…。なんでナチュラルに入って来てんですか!?カード式のオートロックって言ってませんでした坂田さん!?もしかしなくてもこの人、そのカード持ってる上級マフィアだったりします…?急に恐ろしくなってきた。私、絶対、坂田さん以外の緑赤の人から良く思われてない。
「起きてんじゃん。返事しないの賢いね。朝食持ってきたけど食べる?」
「え、あ、はい。ありがとうございます…」
思いのほか穏やかそうな雰囲気でお盆をすすめられ、流れに乗って受け取ってしまった。朝ごはんはかなり嬉しいんだけど、少し疑ってしまう。毒とか入ってない、よね?
いぶかしげな私の表情に気づいてか、彼は「毒なんて入れるかよ」と呆れ顔で吐き捨てた。じゃあ、彼にガン見されてて凄く食べにくいけど、頂きます…。
ジャムが乗ったヨーグルトを口にする。ん、おいしい。濃厚だ。遠慮がちに頬張る私を見て、彼は突然満足そうに笑った。その笑顔はどうも黒さが混ざっていて、なんか無性に嫌な感じがした。
「実はさぁ、毒は入れてないんだけど、薬は盛っちゃったんだよね」
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ろんでるで(プロフ) - 愛河Ayaさん» コメントありがとうございます〜!書き方は少々工夫しているので、そう仰って頂き光栄です。応援ありがとうございます! (2022年1月16日 11時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
愛河Aya - 書き方が好みなのとお話やパロがすごく好きです!更新頑張ってください!応援してます! (2022年1月15日 23時) (レス) id: 46595dc54d (このIDを非表示/違反報告)
ろんでるで(プロフ) - ハツル氏さん» コメントありがとうございます〜!更新頑張りますね。応援ありがとうございます! (2022年1月8日 0時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
ろんでるで(プロフ) - 凛月花さん» コメントありがとうございます〜!描写や構成は力を入れた部分なので、お褒めいただき嬉しい限りです。前作に続きお読みくださりありがとうございます! (2022年1月7日 23時) (レス) id: 457f966757 (このIDを非表示/違反報告)
ハツル氏 - いつも応援してます!更新頑張ってください! (2022年1月7日 20時) (レス) id: 5982f92ed4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろんでるで | 作成日時:2022年1月6日 18時