一軍ヤンキーと陰キャちゃん その6

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たった1日聞いてなかっただけなのに、本当に久しぶりに聞いたみたいな深澤くんの優しい声が電話越しに聞こえる。ここから痛い指摘をされようがなんだろうが、この声が聞けただけで泣きそうになった。


「…お、おはよ、ぅ、」
『Aちゃん今日休み？いつもの道で会わなかったら』
「…あ、えっ、あの…道、まちがえ、て、」


至って普通に会話をしてくれることに複雑な気持ちになって、声が上手く出せない。


…9人全員に嫌われていたとか、避けられていた訳ではないんだろうか。いやでも、わからない。


『…Aちゃん、』
「…は、はい、」


改まった声色に、たった数秒で心臓がありえないほど速く動く。きた、と思った。




【すみませーん、】

「…え、あ、えっ、？」


次に深澤くんの声が繋がる前に、誰かの声が後ろから聞こえた。振り返ると先程の男子学生で、何故電話中に話しかけてくるのか率直な疑問だった。


「…え、えっと、」
『どした？』
「あ、あの、ちょっと待って、て、」
『うん？』


ひょっとしたら道を聞きたいとかそういうことかもしれない。
というか私も今道を聞きたい立場なんですが…、
スマホの通話口を手で覆いながら、後ろに向き直った。


「はい、」
「電話中にすいません、もしかして久宝さん？」
「…え、あ、はぁ、」
「…渡辺達とは喧嘩でもしたの？」


その一言の意味を理解するのに、何故か時間がかかった。一瞬、渡辺達と言われてあの渡辺くんが脳内に出てくるまでタイムラグがあったほど。


「あ、ぁの、どういう……っ、ﾝｸﾞﾂ」
『Aちゃん！？』


どういう意味ですか？＿＿＿＿その言葉を言う前に、後ろから口を塞がれて話せなくなった。衝撃でスマホを落として、向こう側から深澤くんの声が聞こえる。
口を塞がれたまま乱暴に身体を拘束されて、車に投げ入れられた所で布の袋を被せられた。






＿＿＿＿＿＿＿＿…

「…もしもーし 笑」
『…誰だお前』
「深澤くんさぁ、学校で話さないようにしたり無視したり色々やってたみたいだけど…無駄だからあんなの 笑」
『…誰だって聞いてんだけど』
「まじ頑張ってんなぁって思ったよ、でも残念でした〜 笑」
『おい！』









(※更新遅くなり本当に申し訳ありません…いつも読んでくださり誠にありがとうございます！)
(※なななんとっ…前回更新したお話で一位をいただきお星様もあっという間に真っ赤に…！
皆様のおかげです、いつも本当にありがとうございます！！)

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