喫茶店ポアロ ページ10
じんぺーちゃんの死から少しの月日が経ったある日。私はいつもの喫茶店に来ていた。
窓側の席に座って外の道行く人らを眺める。
「ご注文は何になさいますか?」
『アイスコーヒーでお願いします』
常連となりつつある私は今日もただ1人何も無い時間を過ごす。
あれから私は兄のことを「じんぺーちゃん」と呼ぶようになった。え、研二くんみたい?
「お兄ちゃん」って呼ぶと、どうしても涙が出てきてしまうから。親しかった研二くんを真似て「じんぺーちゃん」ってね。
預かっているサングラスを身につけて、
お守りの煙草とライターを持って、
私は今日も彼らがこれを取りに来るのを待った。
おもむろに携帯を開いてメールを送信する。
《どこにいるの?》
相手は降谷零と諸伏景光。
いつからか2人仲良く音信不通になってしまった。だけどメールが届くってことは見てることにもなるんだろうし、どこかで元気にやってるでしょ。
じんぺーちゃんと研二くんにも送っているけど、《メールを送信できません》という文字を見る度に胸が痛む。
『……なんで、逝っちゃうかなぁ…』
あ、やばい。
そう思った時、鼻の奥がつんとした。目が熱くなるのを感じて手の甲で目元を抑えた。
もう何回泣いたんだから分からない。
どうしても思い出してしまう大好きな2人を、私はまだ吹っ切れることが出来ない。
《私だって愛してるよ、お兄ちゃん》
数ヶ月前に送ろうとしたメール。私があの時、すぐに返せなかった言葉。
今は夏なのに、どこか寒気を覚える。
あぁ、
721人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あすか@暇人(プロフ) - 初コメ失礼します。続編突入おめでとうございます!続編のリンクをこちらと繋げていただけると嬉しいです…。 (2022年6月3日 20時) (レス) id: a2dc34f4dc (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - milkさん» じんぺーちゃん妹バカなんです笑 (2022年5月24日 7時) (レス) id: e8da3e8314 (このIDを非表示/違反報告)
milk(プロフ) - ヤバい、最後の松田さんのところ最高に面白い (2022年5月23日 21時) (レス) @page28 id: 7df2c50704 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます!頑張ります! (2022年5月23日 12時) (レス) id: e8da3e8314 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2022年5月22日 23時) (レス) @page27 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かしわ | 作成日時:2022年5月20日 19時