❀ ページ44
『零くんにとって私って何…』
「今日どうしたんだ?」
その後零くんのお家にお邪魔してお風呂上がりの濡れた髪を拭いてもらう。
園子ちゃんに散々いじられたことも相まって思考がこんがらがっている。
もっと強く拭いてもいいよって言ってるのに律儀にタオルで丁寧に時間をかけてくれる零くんは「そうだなぁ…」と考えてるみたいだ。
あ、答えてくれるのね。
「松田や萩原が大切にしている子で、僕が守るべき人かな。妹みたいだよ」
『……そ。』
自分から聞いたくせ何故か傷ついてる自分がいた。
妹、そうだよね。知ってる知ってる。零くん警察学校にいた時から私の事妹みたいって言ってたもんね。
私だって零くんのことお兄ちゃんみたいだと思ったこともあるし、お互い様だ。
「……妹みたいだと、思ってたんだよ」
『へ?』
切ない声が耳に入った。
振り返って零くんを見た。ソファに座っている零くんの表情は、地べたに座っている私からよく見えた。
……なんで、そんな泣きそうな顔、
「好きだって言ったら困るか?」
『そ、れは、家族とかじゃなくて…?』
「………あぁ。一人の女性として君が好きだ」
骨ばった手が私の頬を撫でた。
昼間みたいに胸が切なくなって、抱き締めてあげたいと瞬間的に思った。
「なっ、なんで泣く!?やっぱり困っているのか?もうすぐで三十路になる男となんて、」
『ちがう……なんて言ったらいいか、分からないの』
お付き合いをしたことなんてないし、ましてや好きという気持ちさえおぼつかない。
だけど、この想いが好きという感情なら、私は零くんのことが好きなんだろう。
先日逆プロポーズしたくせに、今になって気づいた。
『零くんは、私と家族になりたいと思ってくれてるってこと?』
「色々飛ばしたがまあそうだな…」
気まずそうに答えてくれる。
そんなの、私も、いや、私の方が____
『零くんと家族に、なりたい、よ』
それが私の精一杯だった。
ぎこちなかったのは許して欲しい。展開の速さについていけてないのだ。
722人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あすか@暇人(プロフ) - 初コメ失礼します。続編突入おめでとうございます!続編のリンクをこちらと繋げていただけると嬉しいです…。 (2022年6月3日 20時) (レス) id: a2dc34f4dc (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - milkさん» じんぺーちゃん妹バカなんです笑 (2022年5月24日 7時) (レス) id: e8da3e8314 (このIDを非表示/違反報告)
milk(プロフ) - ヤバい、最後の松田さんのところ最高に面白い (2022年5月23日 21時) (レス) @page28 id: 7df2c50704 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます!頑張ります! (2022年5月23日 12時) (レス) id: e8da3e8314 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2022年5月22日 23時) (レス) @page27 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かしわ | 作成日時:2022年5月20日 19時