動く箱 ページ21
お「ねぇ、Aちゃん、日曜日ひま？」
『え、えっと･･･』
お「13時に駅で！映画見に行こう！」
『え！いや、その･･･！』
じゃぁーね！なんて手をひらひらと振って自分の部署へ帰っていく
行くなんて言ってないのに･･･。
隣の部署のおついちさん、私が入社してから何かと世話を焼いてくれて、少し前に告白された
有耶無耶にしか出来なくて申し訳ないと思っているけど、
当の本人はそんなこと気にしてないみたいに、話しかけてくれるし、今みたいに誘いもくれる
恋愛なんて何年もしてない私からしたら、会社一番人気と言っても過言ではない、おついちさんと なんて踏ん切りがつかないのも当たり前だと開き直る
嵐のように去っていったおついちさんの背中を見送り ストンと崩れるように椅子に座る
チッ
確かに向かいの席から舌打ちが聞こえた
怖い。同僚の咲ちゃんが、髪で隠れた顔は相当整ってるなんて言ってる兄者さん
色つきメガネに、それすらも隠そうとする前髪
どこぞのヤンキーやねん。
なんて悪態をつきつつも、経営部に持っていく資料をまとめ、持ちエレベーターに乗り込みボタンを押して
閉まるドアをぼんやり見つめる
ガッ
ドアは兄者さんの手によって開き、またゆっくりと閉じる
『何階です？』
兄「別に、あんたについてきただけ」
え？
威圧感に思わず端っこによると、ジリジリと距離を詰めてきた兄者さんは 私の顔の横に手を着いた
『ひ、人来ます･･･』
兄「日曜日行くのか？」
『え？』
兄「おついち」
『あぁ、迷ってて･･･』
聞かれてたのかと少し恥ずかしくなり俯く
兄「行くな。日曜日お前ん家向かいに行くから
家で大人しく待ってろ」
『は･･･』
は？なんて反論しようとした
私の口を塞ぐ 彼の唇
初めて見る兄者さんのどアップの顔
色つきメガネの奥に ぎらりと輝く瞳
綺麗な目･･･
兄「キスしてんだから目くらい瞑れよ、色気ねぇな」
ってキス･･･なな、ななんで？
情報の処理が追いつく前に
開くドア
動けないでいる私に
兄「鈍感なやつは嫌いじゃねぇが、話がわからねぇバカは嫌いだ」
行き先を指定されていないこの箱は、動くことなく留まる
兄「惚れたって言ってんの
だから
日曜は家にいろ、分かったな？A」
こくこくと頷くことしか出来ない私を、鼻で笑う
エレベーターから降りて火照った頬を手で包む
抵抗なんて頭に無くて
私は兄者さんが好きだったのかもしれない
END
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼華(プロフ) - ロードさん！ありがとうございます！結局続編作りましたー！いわれるまであURL乗せてないの気付いてなかったです！！笑笑URL乗せておくので飛んでみてください！ (2019年2月3日 17時) (
レス) id: f5d54145fb (このIDを非表示/違反報告)
ロード - 新作楽しみにしてます！まだ出てないですよね？ (2019年2月1日 0時) (レス) id: 2635e6d835 (このIDを非表示/違反報告)
涼華(プロフ) - ロードさん そうですね、、笑ネタとか思い浮かばなくて。 ほんとですか、、。とても嬉しいです。頑張ります！ (2018年12月22日 12時) (レス) id: f5d54145fb (このIDを非表示/違反報告)
ロード - 涼華さん» 最新話読ませて頂きました。スランプなんですか！？そうとは思えない面白さです。めっちゃ癒されてます (2018年12月21日 20時) (レス) id: 2635e6d835 (このIDを非表示/違反報告)
涼華(プロフ) - ロードさん、ありがとうございます。圧倒的スランプですけど会いものが書けるように精進します。社会人様...仕事の疲れを少しでも癒せるような小説に励みます！！笑笑 (2018年12月21日 7時) (レス) id: f5d54145fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くらふぁー
| 作成日時：2018年11月4日 11時
