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髭切「まぁ、話を聞く限り、あの子はこの事知らないよね」
A「言えてませんから……」
『あーあ』とお兄さんが頭を抱えた。
どういう感情のため息なんだろう
なんだかお兄さん自体は私のことを庇ってくれてはいるけど
やらかしやがってあの弟……って思ってるのかな。
A「あの、私、別にもう言うつもり無くて」
髭切「産むの？堕ろすの？」
A「……まだ、産むのも、堕ろすのも覚悟が決まってなくて」
でもこうなってしまっては
どっちにしろ膝丸くんに言えるわけが無い。
命に関わることだ。
別れたから堕ろすだなんて無責任なこと即決できない。
俯いていると
両頬にお兄さんの手が当てられて顔を持ち上げられた。
膝丸くんと同じ色の瞳と視線がかち合う。
髭切「思ったままに教えて。
責任とか、考えないで、単純に答えてね。
お腹の子、どうしたい？」
A「産んでも、育てきれるか……」
髭切「産みたいか、産みたくないか。
それを聞いてるんだよ」
『難しいこと考えなくていい』
優しく微笑まれて
もう一度教えて、と繰り返された。
迷惑になるかもしれない
目の前にいるのは膝丸くんのお兄さんで
私の身内ではなくて
困らせてしまうに決まってる。
お腹にいる子を
膝丸くんとの子供を
この人の弟との子供を
A「う、みたい……産みたいです……でも」
髭切「うん、産もう。よく言ってくれたね」
ぎゅうっ、と優しく抱きしめられて
肺全体にお兄さんの
膝丸くんとは違う匂いが入り込んできた。
我慢していた涙があふれる。
服にシミがついてしまうかもしれない
慌てて離れようとしたが
お兄さんが離してくれない。
涙が止まらない。
慰めてくれるみたいに背中をさすられて
膝丸くんの前でも泣いたことがないのに
お兄さんの前で、大人になって初めて
子供みたいに泣いてしまった。
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美葵 - 面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2022年12月13日 20時) (
レス) id: 1084734db6 (このIDを非表示/違反報告)
万(プロフ) - すっごくドキドキしながら見てます…！！ 続き楽しみにしてます！ (2022年12月6日 10時) (レス) @page11 id: be844da8b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こまめ | 作成日時：2019年12月25日 0時
