君からそんなものは感じられないよ。 ページ7
チラリと視界に入った彼の手にある本のタイトルを見て、なるほどな、と目を反らす。
その洋書は確かある女性がドイツで博士号を取得するまでの回想録が綴られたものであったか。
理工系の回想録は私も漁りに漁ったことがある。
なぜなら博士号を取得するときに扱う論文を私は何度もあの人に課題として出されたからだ。
博士号なんて取得できる環境でも年齢でもないのに何度も研究を繰り返して正規ではない論文を彼に提出したものだ。
苦い記憶を吹き飛ばすように軽く首をふって、もう一度六道君を見流す。
彼のような特徴的なイケメンは、一度見たら忘れないので海外のラボで会ったことはないと断言できる。
と言うことは畑違いの研究者かなにかかい君は。
そんなあり得ない考えですらも出てきてしまうのは、この五年間現実味のない研究に携わって柔らかくなりすぎた私の頭がおかしいのか。
ただの中学生が放課後の教室で洋書を読みふけるってなんだそれ。
訝しげな私の視線に気づいたのか、六道君が柔和な笑みをこちらに向けてくる。
「Aさんが難しそうな本を読んでいたので、僕も読める言語のもので同じ分野を勉強してみようかな、と」
「にしても回想録？」
「…研究者や科学者と呼ばれる方々の心情を少し理解してみたくなったんですよ」
一瞬陰った彼の表情を見て、眉を寄せる。
「会長から聞きましたよ、中学生でありながらなにか難しい研究に携わっていると！」
興味津々と言うように瞳を輝かせる六道君に若干の違和感を感じる。
「…本当に？本当に理解したくなったの？」
椅子に座っている彼の赤と青の瞳をジッと見下ろす。
…これでも今までさまざまな研究者を見てきたのだ、その興味の対象への熱意ぐらいなら読み取れる。
君からそんなものは感じられないよ。
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サラダ(プロフ) - シオンさん» こちらこそ自分勝手に更新止まってしまって申し訳ないです。ただいま書いては書き直してを繰り返してますのでお見せできる文章になりましたらどうかお楽しみください！コメントありがとうございました！ (2019年9月22日 16時) (
レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 続きが気になります！自分勝手かもしれませんが、どうか更新よろしくお願いします。 (2019年9月17日 1時) (レス) id: 8d841be347 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます！ページもいっぱいになったので次は3章に入っていきます！もう少々お待ち下さい！ (2019年8月6日 15時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
白露(プロフ) - とても面白くて一度に読んでしまいました。 続きが気になる…！(>ω<*) (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5376065075 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - きさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません！分岐…考えたこともありませんでしたがそういうのもありですね！落ちは私のなかでは既にきまっていたようなものだったので、私が出来る限りで挑戦させていただきたいと思います！ (2019年6月29日 13時) (レス) id: c38cbec620 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラダ | 作成日時：2019年3月13日 19時
