ポツンと1ベンチ ページ14
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『本当にたくさんお店がある…』
こんなに栄えてたのに、今まで知らなかったなんて…。いかに自分がインドアだったのかが身に染みる。
『(ずっと歩いてたから足が疲れたな。どこか座れそうなところは…)あ、あった』
ちょっとした広場のような場所に、ポツンと1つのベンチを見つける。設置されて随分と経っていそうなそこに座って、景色を見渡した。
『すごく…綺麗』
夕方のオレンジに少しずつ紺色が混ざっていき、通る人々も買い物袋や大きくなったバックを持つ人が多くなってきた。広場に、これまたポツンと立っている時計台を見上げると、もうそろそろいい時間。
『慣れない道で暗いのはちょっとね…』
もう少しだけ休んでから帰ろうかな、なんて思ったその時、
?「おっと先客」
振り返るとそこには、40か50代くらいであろうか。白シャツに黒ベスト、黒ネクタイに黒エプロンまでつけた男性が、まだ煙がついていない煙草を咥えて立っていた。この辺りにある店の人かな?
『す、すみません…!』
?「あぁいや、こちらこそ。悪いね、座ってていいから」
反射的に立ち上がろうとしたところを止められ、じゃあ…と座り直す。チラッと見上げるとベンチの横に立って火をつけたその人と、目があった。
『あぁ、えーっと…。いつもここで休憩してるんですか?』
なんだか気まずくてとりあえず質問をする。
?「まぁね。この時間はお客さん少ないから、休憩」
『(お客さん、ってことはやっぱり店員さんなんだ)』
?「このベンチさ、ボロッちいでしょ?そのせいでいつもは誰も座ってないんだ。まぁおかげで俺が休憩場所にしてんだけど…。だから人がいて驚いてさ。つい声に出ちまった笑」
気ぃ悪くしてたらごめんね、なんて軽く謝られる。なんかこの人すごい。全体的に軽いし、初対面なのにタメ口だし…なのに失礼に感じない。なんだったらすごく親近感を覚える。そんな…不思議な雰囲気。
?「お嬢ちゃん、大丈夫?」
『え、あ、はい!』
いけないいけない、ボーっとしてた…。そうだ!せっかくだし聞いてみようかな。
『あのお尋ねしたいことがあるんですけど…いいですか?』
?「どうぞー」
か、軽い…。
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みびみやこ(プロフ) - おバカな莉久(サブ)さん» はじめまして。凄く好きだと言って頂けてとても嬉しいです!必ず完結までいきつきますので、お待ち頂けますと嬉しいです。これからも当作品をよろしくお願いいたします。 (2022年2月10日 19時) (レス) id: e70206d298 (このIDを非表示/違反報告)
おバカな莉久(サブ) - はじめまして!このお話凄く好きです!更新再開(?)おめでとうございます!無理だけはしないでください!これからも更新ゆっくり待ってま〜す! (2022年2月9日 22時) (レス) @page38 id: ddd40ab2e7 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - みびみやこさん» わああっおかえりなさい、待ってましたー!ゆっくりで全然大丈夫なので、無理せず頑張ってください…! (2022年2月8日 1時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - みらいさん» 返信が遅くなり申し訳ございません。この度、更新を再開しました。待っているという言葉、すごく励みになります!更新頻度についてはゆっくりではありますが、完遂しますので最後まで見守ってくださると嬉しいです! (2022年2月6日 21時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - 更新停止…寂しい…でも私はいつでも待ってます!って言ったらプレッシャーになっちゃうかな…もし戻ってきたら私も戻ってきます、この作品を忘れません!ってことです。リアルでの生活も、無理しないように頑張ってください…! (2021年12月27日 22時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みびみやこ | 作成日時:2021年9月28日 14時