夏祭り5 ページ47
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光原先輩との怪しい関係を思い出して顔が強張るが、無視をするわけにはいかない。そそくさと近づく。
大門「マイクにジュースがかかってねぇ、使えなくなっちゃって。ステージ係は全員、柵前にいるでしょ?…光原くん呼んでもらえる?」
『ステージのことはステージ係に…』
大門「本当はわかってるんだろぉ?…光原くんがいいんだ」
この人とうとう本性を…。
大門「彼のおかげで去年、すごく盛り上がったんだ。だから直接、感謝を伝えたい。でも表にいないから…伝えられないじゃないか…」
数日前のように、大門さんが悲しそうに俯いた。その表情をみると、何とかしたくなる。
『(盛り上がったって…。光原先輩、ステージパフォーマンスとかしたのかな。…まぁ悪い関係じゃないなら…)』
大門「お願いだよぉ…。来てもらう理由はちゃんとあるからさぁ…」
『(でもやっぱり…)ステージ係、ステージ係。今、よろしいですか?』
大門「ちょ…!」
〈…〉
どうやらステージ前の盛り上がりで、誰も気づいていないようだ。本当にステージ係総出で柵前にいるらしい。
『…。機材係、機材係。見回り係の春野です。今、よろしいですか?』
大門「!!」
嬉しそうな笑顔に、強張っていた表情が緩む。
紘基〈機材係、光原です。どうぞ〉
『ステージ裏にて、マイクの故障1本。ステージ係は応答無し。対応、お願いできますか?』
紘基〈ちょっと待って。…ステージ係、ステージ係。対応不可ですか?〉
〈…〉
紘基〈Ryuさんの影響か…。わかった。今から向かいます〉
『お願いします。…光原先輩が対応に来ます』
そう伝えると大門さんがまた嬉しそうに笑った。
念のために、と私も待機して光原先輩を待つ。ステージは相変わらずの盛り上がりで、多くのカメラや携帯電話が向けられている。ちょうどRyuさんが「最後の曲になります」なんて言ったとき、肩を叩かれた。
『あ…!お疲れ様です!』
この暑い中、マスクをつけて光原先輩が現れた。会えたことについつい嬉しくなる。
紘基「お疲れ。動作確認済みだから、どれ使ってくれても大丈夫。じゃあ何かあったらまた呼んで」
『え?あ、は、はい。(マイク3本も…)』
まるで、この場を早く去りたいと言わんばかりの勢いに言葉が詰まる。
大門「光原くん…!待ってたよ!会えて光栄だ!」
紘基「…。大門さん。どうも」
テントを捲って出てきた大門さんを見て、光原先輩は眉をひそめた。
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みびみやこ(プロフ) - チックタックさん» コメントありがとうございます!書きたいことが多すぎて中々発展しなくて申し訳ないのですが、そう言ってくださると嬉しいです!こだわっていきたいと思います!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月23日 18時) (レス) @page42 id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
チックタック - 話の内容がすごく作りこまれている! (2021年9月23日 14時) (レス) @page43 id: b901e895c9 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - みらいさん» 面白い!?!?ありがとうございます!少しずつではありますが進めていきます!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月17日 20時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
みらい - すごくおもしろいです!無理のない範囲で更新頑張ってください (2021年9月17日 20時) (レス) id: 942628a425 (このIDを非表示/違反報告)
みびみやこ(プロフ) - にら。さん» 返信遅くなり申し訳ございません。好きというコメントありがとうございます!これから定期的に更新していければと思いますので、読んで下さると嬉しいです!今後も当作品をよろしくお願いします。 (2021年9月14日 18時) (レス) id: 9a02bb3167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みびみやこ | 作成日時:2020年9月18日 23時