検索窓
今日:40 hit、昨日:194 hit、合計:79,391 hit

◇廿肆 ページ31

*



ヒュォォッと冷たい風が吹く中、ひとつの影が本丸に
近づいてくる。




「ふふふっ…下見しておかなくちゃね」




大きな門の前で、右左を確認する怪しい影。
黒い羽織を着て、顔を布で覆っている。




「セキュリティガバガバじゃないの。あの女は阿呆なんじゃないかしら。盗み入り放題じゃない」




リンっ…


リンっ…




「…な、何…?…鈴?」




ヒュォォォッ…

リンっ…リンっ…


一際冷たく、強い風が吹き荒ぶ。
門前の柳がざわざわ揺れ、遠くで犬の遠吠えが聞こえてくる。



そして、その影が門の上を見上げた途端、




「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



『しーっ。』




そこに居たのは、恐ろしいほどに美しい笑みを浮かべた
Aだった。

人差し指を口に当て、ただならぬ雰囲気を醸し出している。




「…(う、動けない…!?)」

『うふふ…私の目論見通りでしたね』

「な、何よあんた!!」

『何って、盗みに来たのでしょう?審神者さん』




その影の正体は、あのフリフリ審神者だった。

Aのその声には静かな怒りが含まれていた。
辺りを取り巻く冷たい空気、蛇に睨まれた蛙のように、
張り詰めた空気の中で身動きが取れないフリフリ審神者。




「ばっ、馬鹿言いなさい!挨拶に来ただけよ!」

『はっ、つまらない戯言を。一期一振、小竜景光、鶴丸国永を盗みに来たのでしょう?』

「ち、違う!!!違う!!!!!!」




バッと走り出したと思えば、懐に入っていた短刀を
私につきつけようとする。

私は即座に天神影千代を抜刀し、柄を背中に突きつけた。




「グアッッ………」

『全く……懲りない女ね』






その後、この女の本丸の刀剣男士に預け、私はまた皆がいる
洋館へと向かった。




巴「どうした主、どこへ行ってたんだ?」

『ちょっと鼠退治に』

巴「鼠?鼠が出たのか。掃除はしっかりしているはずだがな」

『ちょっと開けた隙に入ってきたのかも知らないわね』




ちょっとお口が悪かったわね。ふふふふふふっ。

◇作者より→←◇廿参



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (138 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
490人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あう - 1、本科と写しどれも個別の刀で追いめを感じる様な者ではないから。実際に国広は誇りを持っている。2、剣士と言うだけで刀の事はあまり知らなかった。3、日輪刀は十人十色の刀だから  ※勝手な妄想です。気にしないでくれるとありがたいです (11月21日 23時) (レス) @page6 id: 64c26850b0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音 - 本当に面白いです!続きがめっちゃ気になります!頑張ってください! (10月28日 9時) (レス) @page38 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
榮薇(プロフ) - たまごがゆさん» 夢主ちゃんは、山姥切の言動に、自分が写しであることに負い目を感じていることを察して、わざと知らないふりをしている、という設定です!ご指摘ありがとうございます😊ありがとうございます😳これからもご愛読いただければ幸いです❤️ (2022年8月29日 9時) (レス) @page8 id: c8e9ae4c59 (このIDを非表示/違反報告)
たまごがゆ - 素敵な話で読み込んでしまいました! ところで質問なんですが、◇参 の羽衣石が写しや本科を知らないのは何故ですか?刀を持つ鬼殺隊士が知らないとは思えず… 更新頑張ってください!応援してます! (2022年8月26日 22時) (レス) @page8 id: 8c08499bcc (このIDを非表示/違反報告)
榮薇(プロフ) - ふわなさん» わぁ!ありがとうございます嬉しすぎます🤭❤️ (2022年8月19日 21時) (レス) id: c8e9ae4c59 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:榮薇 | 作成日時:2022年8月1日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。