◇拾参 ページ20
*
そして次の朝。
夏も近づく八十八夜。
本丸のある山も、だんだんと夏に近づいてきた。
木の枝の先で枯れていた花も落ち、青々とした青葉が
のびのびと空に向かって広がっている。
『あら、蜻蛉切』
蜻「主、おはようございます」
『随分と朝早いのね』
蜻「主こそお早いですな。朝餉のお支度ですか?」
『うん。蜻蛉切は?』
蜻「厠に行ったついでに水を飲みに来た次第です」
そう言葉を交わす朝五時半。
まだあたりは薄暗く、淡く太陽の光が射し込んでいる。
『今日は田植えだから、いっぱい麦茶作っておかないとね』
蜻「ならば私がやりましょう」
『本当?ならお願いしようかな!やっぱり蜻蛉切は頼れるね!』
そう蜻蛉切を見て微笑めば、そっぽを向いてしまった蜻蛉切。
心做しか、桜がちらちら舞っているように見える。
…いや、舞ってる。
蜻「…褒めても何も出ませんぞ」
『ん〜?ふふっ』
一気に水を飲み干し、丸粒麦茶を煮出す蜻蛉切の横で、せっせと朝餉の材料を調理していく。
そして、蜻蛉切は煮出した麦茶をボトルに入れて、冷蔵庫に入れておいてくれた。
『ありがとう、助かった!』
蜻「いえ。それでは、私は風呂に行ってまいります」
『うん、行ってらっしゃい』
麦茶を作り終えた蜻蛉切が、外にある桶を干しておく棚へと
桶を取りにいった。
この本丸は、母屋とは別のところに銭湯がある。
露天風呂付きの結構豪華なやつ。
・
そうこうしているうちに、歌仙が起きてきて並んで朝餉の準備をする。今朝は焼きめざし、大豆の五目煮、もずくときゅうりの酢の物、生卵、白米という献立。
歌「全く、昨日は肝が冷える思いだったよ」
『ごめんなさいね、みんなに心配をかけちゃったみたいで』
歌「何事も無かったからよかったけど…出掛ける時はちゃんと言わなきゃ駄目だよ」
『うん、分かったよ』
お玉を持ったまま、私の方を向いてそう諭した。
ちょっと笑いそうになったのはごめん。
歌「…あっ、こら大和守!」
『つまみ食いかな?』
安「ちぇー、バレたか」
歌「ちぇーじゃ無い!これから朝餉なんだから我慢しないか!」
安「はぁーい」
まだ髪がボサボサの安定が、大豆の五目煮をつまみ食い。
それに気づいた歌仙がまたお玉を持ったまま諭す。
あれ…?デジャブ…?
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あう - 1、本科と写しどれも個別の刀で追いめを感じる様な者ではないから。実際に国広は誇りを持っている。2、剣士と言うだけで刀の事はあまり知らなかった。3、日輪刀は十人十色の刀だから ※勝手な妄想です。気にしないでくれるとありがたいです (11月21日 23時) (レス) @page6 id: 64c26850b0 (このIDを非表示/違反報告)
凛音 - 本当に面白いです!続きがめっちゃ気になります!頑張ってください! (10月28日 9時) (レス) @page38 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
榮薇(プロフ) - たまごがゆさん» 夢主ちゃんは、山姥切の言動に、自分が写しであることに負い目を感じていることを察して、わざと知らないふりをしている、という設定です!ご指摘ありがとうございます😊ありがとうございます😳これからもご愛読いただければ幸いです❤️ (2022年8月29日 9時) (レス) @page8 id: c8e9ae4c59 (このIDを非表示/違反報告)
たまごがゆ - 素敵な話で読み込んでしまいました! ところで質問なんですが、◇参 の羽衣石が写しや本科を知らないのは何故ですか?刀を持つ鬼殺隊士が知らないとは思えず… 更新頑張ってください!応援してます! (2022年8月26日 22時) (レス) @page8 id: 8c08499bcc (このIDを非表示/違反報告)
榮薇(プロフ) - ふわなさん» わぁ!ありがとうございます嬉しすぎます🤭❤️ (2022年8月19日 21時) (レス) id: c8e9ae4c59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:榮薇 | 作成日時:2022年8月1日 21時