11、脅迫 ページ13
Aside
丸井とお菓子について語っていると幸村が話しかけて来た。
幸「柊さん。話してる所悪いんだけど本題に入っても良いかな?」
本当はもうちょっと丸井と話してたかったけど私は承諾した。
怒ると怖そうだからね、幸村は……
幸「本題と言うのは、我が男子テニス部の見学に来て欲しいと言う事なんだ。マネージャーをするにはまず俺たちについて知って貰わないといけないからね。」
…嫌ですけど。
なんで見学になんか行かなきゃなんないの?
自分から目立ちにいくようなもんじゃん。
今はまだ「運動神経が良い」って事しかバレていない。
ただでさえ目立ってるのにさらに目立てと言っているのと同じだ。
『ごめん。それはちょっと行けない。』
幸「へー…じゃあこれをばらまくけど良い?」
幸村はそう言ってスマホを取り出した。
なんか変なもの撮られたっけ?
私は幸村のスマホの画面を覗いた。
そこに写っていたのは…
伊達眼鏡を外し、寝癖を直して髪を一つに結った“本来の私”だった。
嘘!?
なんで!?
昨日は誰もそんな事はしていなかったはず…
『なんで持ってるの…』
幸「仁王が撮って置いてくれてね。仁王は元々の柊さんの姿を知っていたらしいんだ。だから驚かずにいれたんだって。」
仁王…
私は仁王を睨んだ。
当人はそっぽを向いていたけど。
幸「…という事で来てくれるよね?」
テニス部の見学なんかに行ったら確実に目立つだろう。
だけど、写真をばらまかれる方が目立つ。
だからこう返事をするしかない。
『はい…』
私は自分があの“柊A”だとバレないために目立つ事を覚悟して見学に行く事にした。
…っていうか、これって脅迫じゃない?
後々私は気づいたのだった。
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作者名:澪音 | 作成日時:2021年2月21日 18時