お ページ30
彼は俺の予想できないことしか言わないのか。
そんなこと、普通教祖の前で言うだろうか、いや言うはずない。
童「君、面白いねえ。いいよ、いつでも此処においで。」
俺が笑顔で言うと、
『ありがとうございます、多分2日に一度くらいお邪魔します!
申し遅れました、俺は元良Aと言う者です。
少しの間ですが、お世話になります。』
彼も良い笑顔で返した。
『俺、自由が好きなんです。だから本当はこんな仕事やりたくない。
まあ、お金の為だから、仕方ないですけど。』
突然彼はそう言ってきた。
この頃には彼と大分打ち解けていて、確か初めて会ってから一月くらいだったように思う。
童「それなら、やっぱり入信する?」
『いえ、そうしたら、その教義に俺は縛られてしまうじゃないですか。
宗教について知るのは好きですが、当事者になるのは御免です。』
彼は自由を心から愛し、そして自分の欲求に素直だった。
矢張り、Aは面白い。
くだらない信者の話を聞くよりかは彼の話を聞いていた方が、同じ人間の話だとしても幾分もマシだ。
彼の話は、暇潰しに最適すぎる。
あの可哀想な人間達も少しは進化しているのだなぁ、そう思わざるを得なかった。
しかし彼は気付いていなかった、────自由という言葉に自分自身が1番縛られていることに。
その愚かさが、何より面白かった。
『でも…、信仰する宗教くらい、自分で選んじゃ駄目なんですかね。
俺が行った仏蘭西という国では、昔は信仰の自由が認められていたんです。
しかし、その後の王に法律を変えられてしまい、厳格な天主教カトリック国家になってしまった。』
『日本にも、宗教の自由が認められる日が来てほしいですね…。後の仏蘭西のようにはなってほしくないですが。』
途中よく知らない単語が出てくることが多かったが、とりあえず日本でも信仰の自由は認められるべきだと言いたいらしい。
それなのにこの万世極楽教を潰そうとしているのだから矛盾も甚だしいが、仕事だから仕方のないことだそうだ──まあ、本気で潰す気があるなら、俺が食い殺せば良い話なので、何の問題もない──。
『すみません、話しすぎました。
最近、話し相手がいなくて…、近頃俺の周りの研究員が知らぬ間に消えているのです。
これからは俺の書類の仕事の量も増えそうで嫌なのですが…。』
ではそろそろ失礼します、といって彼は静かに退室した。
きっと無惨様が手を出しているのだろうな…。
452人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
串(プロフ) - 罷免さん» はじめまして、コメントありがとうございます。どツボにハマって頂けましたか…!正直癖の強い作品だと思っていたので、罷免さんを含め多くの方に評価して頂いている事実に毎度驚愕しております…。これからもちゃんと更新するので、作品共々よろしくお願いします! (2020年2月29日 2時) (レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
罷免 - どツボです…更新ありがとうございます!!! (2020年2月27日 22時) (レス) id: d073c1529e (このIDを非表示/違反報告)
串(プロフ) - はじめまして、コメントありがとうございます。楽しんでもらえるよう、予測できない展開にしようとこんがらがり気味ですが、面白いと言って頂けて嬉しいです!無計画なので変な点もあると思いますが、是非最後までお付き合いください。これからもよろしくお願いします! (2020年2月27日 20時) (レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
アクトレモン(プロフ) - とてもこの作品が大好きです!!今まで見たことがない展開などとても面白いです!更新頑張ってください (2020年2月27日 11時) (レス) id: 4bdd481c8a (このIDを非表示/違反報告)
串(プロフ) - ウルさん» はじめまして、コメントありがとうございます!会話文だけの夢小説が苦手だったので、情景や心情描写を出来るだけ挟むようにしていたのですが…、まさか読者様の妄想の糧になっていたとは思いませんでした笑 応援とても嬉しいです、これからもよろしくお願いします! (2020年2月22日 20時) (レス) id: 94b567b340 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:串 | 作成日時:2020年2月15日 20時