きみを好きになって～S・O～２ (ページ7)

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この歳で、せつなくなる恋をするとは思わなかった。

前に失恋した時に、このままひとりで生きていくことも考えようって思ったから。

こんな私じゃ好きになってくれるひとなんて、出てくる可能性は低くなる一方だもの。

それなのに、私の前に現れたのはアイドルという特殊な職業の彼。

仕事中とは全然違って、オフの時はオーラなんて感じない彼。

こんな私でも優しく接してくれるから、期待しないようにしていたのにね・・・。

いってらっしゃい・おかえりなさい・頑張ってなんて、今までだって彼女に言われていたはずなのに、おかしいよ。

彼が並べる私を好きな理由は、コンプレックスの塊である私にとって到底信じられるものではなくて、ますますマイナス思考になって抜け出せない。

それでいて彼にときめいて、期待しちゃ駄目と言いながらどこかで期待していた自分。

彼を想うたびせつなくなる自分を止められなくて、それでも無理に気持ちを押し殺してた。

ばかだなぁ・・・。

彼の前で泣いたってコンプレックスが消えるわけないのに。

彼も困っていたみたい。

何でも聞いていいなら答えてくれるかなって思い切って聞いたこと。

オブラートに包んだ聞き方だけど彼にはわかるはずで、彼の答えによってはそのまま帰ってしまおうって思ってた。

もう二度と聞かないよ。

今こうして彼のベットで、彼の匂いに包まれて横になっていることが不思議で、こんなんじゃ眠れやしない。

名前を呼び捨てにされて、名前を呼ぶように言われて・・・まるで恋人だね。

私は今、その恋人ができて幸せなんだと思う。

まだ実感がないせいで、ひとごとのように思ってしまうけど。

でもせっかくできた恋人だけど、初めから彼との将来を考えられないのは辛い、かな。

あせっているわけではないけど、幸せになったのに手放しで喜べないもうひとりの自分がいる。

きっと心の中でひとりになった時の準備をし始めたんだよ。