きみを好きになって～S・O～２ (ページ31)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:99,803 hit

81 Oside ページ31

秋のコンサートツアーで何曲か振り付けをすることになったおいらは、ひとりでスタジオに籠ることも増えた。

スタジオに居たって踊るなんてことはあまりなくて、曲をエンドレスで流しっぱなしで頭ん中で考える。

床に寝転がって天井を見ていると、集中が途切れてAのことを考えていたりする。

あの日から毎朝毎晩必ずメールを送ってる。

中身はおはようとかおやすみとかの挨拶だったり、たわいもない話だけど、Aからの返信を待ってるんだ。

すぐに会いに行けないおいらの、これも誠意のつもり。

真面目なAは、ちゃんと返事をくれる。

たとえそれが、そっけないものだったとしてもおいらはホッとするよ。

おいらこんなとこで何やってんだろ・・・。

振り付けの為にいるスタジオなのに、考えるのはAのことばかり。

こんなんじゃダメだ。
こんな気持ちのまんまじゃはかどらない・・・。
・・・今日は・・・土曜日・・・？

ガバッと起きあがると、携帯でマネージャーに電話をする。

「今日はもうやめた。
アトリエ行くから、送ってくんない？
あ、その前にうちに寄って。」

あの日見られなかったAの顔を見て、もう一度ちゃんと謝ろう。

『これからアトリエに行くから、連絡してほしい。
やっと会えるよ。』

Aにメールして、彼女に会うことだけを考えてスタジオを飛び出す。

一旦うちに帰って荷物を持ち出す。

これはマネージャーに効果があるよね。

「今日はあっちに泊まるから、迎えはあっちね。」

Aからのメールを確かめると

『・・わかりました。』

と短い返事。

このときもAの気持ちなんて考えてなくて、謝れば許してくれるって軽く考えてたんだ。

ばかだよなぁ、おいら。