75 Oside ページ25
「ごめん・・・聞こえてない。」
「そう・・・だよね。
今日はずっと絵のことばかり考えてたよね。」
「・・・ごめん、・・・忘れてたんだ。」
取り繕うとしても、口下手なおいらじゃかえって怒らせちゃうような気がしてホントのことを言った。
「！・・・忘れてたんだ・・・。」
Aは深呼吸をすると
「今日は・・・帰って。
明日からまた忙しいんでしょ？
早く休んだ方がいいよ・・・。」
それはAの拒絶？
「・・・おやすみなさい、智くん。」
それでもちゃんとおいらが好きな言葉を言ってくれるんだね。
外に出ると待ってくれている翔くんに電話をした。
「家まで・・・送ってくれる？」
小走りに車まで行って、乗ったと同時に翔くんは車を発進させた。
キャップをずらして目を隠す。
翔くんが運転しながら、チラチラおいらを見てるのを感じたけど、気づかない振りをした。
ごめん、翔くん。
おいら、今苦しくて。
Aを傷つけてしまった自分が情けなくて・・・。
泣きそうだ・・・。
「と、とりあえずさ、おすそ分けね。」
って目の前に差し出された箱だけど、今のおいらにはどうだっていい。
「さ、智くん、おれが持って行くよ。
だから部屋に入れてくれる？
冷蔵庫におれが入れるから。」
そう言って部屋までついて来た翔くんは、テーブルの上の食事に驚いて目を丸くしてた。
おいらももう隠すこともしない。
そんな余裕無いよ。
「翔くん・・・。
メシ食ってかない？」
Aがおいらの為に作ってくれたんだ。
食わないとね。
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作者名：Fg | 作成日時：2014年7月10日 10時
