きみを好きになって～S・O～２ (ページ18)

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春が過ぎて梅雨に入って、仕事がひと段落したからって智くんは髪を切った。

本人から聞かなくても、ドラマの撮影が終わって番宣まで済ませて切ったということはテレビやネットでわかったけれど、刈り上げるほど短くなったのはリーダーのファンとしてびっくりだ。

ドラマの髪型、好きだったんだけどな。

でも私と会う時の智くんは、帽子をかぶって崩れた髪だからあんまり関係ないけど・・・。

智くんの彼女っていう立ち位置にも少しずつ慣れてきた。

って言ってもふたりだけでのことだからね、あたりまえか。

それと休みがもらえて、釣りに行ったみたい。

もちろん以前私が言った、行ってもいいけど彼女を気遣ってっていう言葉を覚えていたらしく、

「釣り、行って来ていい？
Aも一緒に行ければいいけど、船ダメって言ってた気がする。」

大変なドラマから解放されたから、ファンとしては日焼けしない程度に楽しんで来てほしいけど、彼女としてはやっと終わったのに？って思っちゃう。

それでもちゃんと彼女を気遣ってくれたから、

「いってらっしゃい。
あ、私、魚捌けないからね。」

「ん、おいらがやってうまい刺身食わしちゃる。」

そんな恋人みたいな会話もできるようになった。

つかのまの休みのあと、またすぐに忙しくなる智くんの仕事。

ネットなんかで知る夏のテレビ番組の仕事とライブの準備、その他にも色々あるみたいで不規則な毎日で会える日は少なかった。

アイドルとつき合うってこんな感じなんだって思い知らされる。

それでも毎日メールをくれたり、アトリエに来ると言って短い時間でも会いに来てくれることには素直に嬉しいと思えた。

『こんど休みがあるって。
Aのご飯食いたい。』

そんなメールが来るとね、無条件に

「いいよ。」

って言ってしまうんだ。

忙しい智くんの言うことなら出来るだけ聞いてあげたいけど、それじゃまるで都合のいい女みたいだね。

ほら、またマイナス思考が・・・。