きみを好きになって～S・O～２ (ページ1)

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「この前は慌ただしくてごめんね。
どうしても言っておかないと、仕事に影響が出そうだったから。」

「・・・そうですよ、言い逃げです。」

「ん、ごめん。
でもさ、冗談なんかじゃなくて本気なんだ。
・・・Aさんが好きだよ。」

大野くんの目はまっすぐ私を見てて、揺らぎがなくて本気だと思わせる。

それだけで胸が高鳴って涙があふれそうだから、唇をかみしめて目を逸らした。

「それでも・・・冗談としか思えません。」

「ね、Aさんの心ん中を知りたいからさ、敬語はやめようよ。
さっきみたいに素のAさんを見せて。」

私がせっかく引き直した線を、また消そうとしている。

今度はかなり強引だ。

やっぱりさっきの寝起きはまずかったなぁ・・・。

「・・・わかった。
・・・で、何で私なの？
大野くんの周りには、きれいなひとや可愛いひとが沢山いるじゃない。
仕事関係を抜きにしても私を好きなんておかしいよ。
それに・・・彼女ぐらいいると思ってた。」

突然素に戻った私を見て、あのふにゃんとした笑顔になった大野くんに戸惑う。

怒ったふりで強く見つめ返してみる。

「いやぁ、ホントのAさんと話せてうれしいんだ。」

「今までも私だけど・・・。」

「でもね、なんか違ったの。
んふふ。」

「・・・答えて。」

「彼女なんていないし・・・。
きれいなひとや可愛い子はゴロゴロいるよ。
きれいだなとか可愛いとか思うよ。
・・・でも、好きにはなんない。」

そう言い切る自信はどこから来るんだろう。

それに彼女、いないんだ・・・。

「私なんかのどこが・・・」

「ん・・・初めて会った時のはにかんだ様な笑顔・・・とか、ガツンって言ってくれるとことか・・・料理が嫌いって言いながらちゃんと作ってるとことか・・・。
あとね、お帰りとか頑張ってとかお疲れ様とか、Aさんの言葉がおれの身体にスッと入ってきて、癒されんの。」

そんな風に並べ立てられると、恥ずかしさが倍増するよ。