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You side
『自分のことは自分でやるから大丈夫だ、っていつも言ってるのになぁ』
「それでため込むから俺は心配してるの」
隣を歩く彼は、少し不機嫌そうだ。
高校に入りまた一層ぐんと身長の伸びた彼は、少し見上げないと顔が見えない。それでもちらりと伺えば、少しムスッとしていて。
あっこれ少し怒ってるやつ。
『…あー……本当に困ったら頼るから。でもらんらんも自分を優先しなよね?なんたって生徒会なんていう役職ついたんだから!』
「ふふ、わかった。約束ね」
『わ、それ久しぶりに聞いた。懐かしいね約束』
小学校の頃、何か2人で決めるときは必ず約束ね、なんて笑って小指を絡めたのを思い出す。
そも、らんらんが約束を破るとか思ってないけど、これは2人だけの秘密のようなものだ。
…そういえば、中学に上がってからはお互いに部活などが忙しくて一緒に登下校とかしてなかったなと思う。去年もそうだ。
だからなのか、こうしてのんびりと他愛もない話をして歩くこの時間を、どこか嬉しく思う自分がいた。
『なんだかんだ、一緒に下校も久しぶりじゃない?ちょっと嬉しいかも』
メールや電話でやり取りをしていたり、ゲームとかで休日一緒に遊んだりもしていたけれど。
「あー、確かにね。…ほんっと、中学も高校も顧問の先生厳しくて」
『よく美術室いると格技場からの打ち込みの音と声聞こえるよ。今度大会あるんでしょ?また応援いくから』
「マジ?そっか、じゃあ頑張らないとなぁ」
微笑む彼は、鞄とは反対側に掛けている竹刀を持ち直す。この姿ももう見慣れたものだ。くっそイケメン様め、様になっているな今日も。
『優勝期待してるぞー?最強の幼馴染よ』
「めっちゃ応援してね」
『大人数の場所で声張るのは無理かもしれない』
「そこは任せてって言って?」
2人で顔を合わせ、けらけらと笑う。
まだ日も高く、近くの公園から飛んできたのだろう桜の花弁が周囲に舞っていた。
そうくだらない話をしているうちにも自分の家が見え、また明日からはいつも通りに過ごすんだなぁと思う。
お互いに自分の家の玄関前に立つ。
これも、昔からずうっとやってきた事だ。
『「それじゃあ、また明日」』
声を揃えて、同時に笑って。
私たちは、各々家の中へと入った。
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森樂(プロフ) - ライアさん» 名推理!わかっていただけて安心しました、大正解です!! (2020年12月25日 6時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
ライア(プロフ) - なるほど、名探偵のようなポーズ…実写動画でのお決まりポーズですよね?! (2020年12月24日 22時) (レス) id: a00b590788 (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - 小豆さん» 私も美術部員ですこんにち((ありがとうございます、引き続きよろしくお願いします!! (2020年12月23日 21時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
小豆 - 同じ美術部員ですどう(((めちゃ神作ですね!!(確定)これからも更新応援しています! (2020年12月23日 11時) (レス) id: 73726d907e (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - つむ(^p^)**さん» ありがとうございます嬉しいです(号泣)作品の展開的にキャラに偏りありますが続々と出せていけたらなと思うので(願望)これからもどうぞよろしくお願いしますー! (2020年12月21日 15時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:森樂 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sinra_ura_d?s=06
作成日時:2020年12月3日 23時