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You side
だってほら、自分宛てかなと思って返事したら自分じゃなかった〜とかあったら嫌じゃないか。
あのとき鬱さんとの関わりは0だったもので…。
『ごっごめんなさい…あ、でも別に嫌いとかそんなんじゃあないというか!だけど敬語を外すのは苦手で、けして距離取ってるとかそいうのじゃあないのでっ…!』
あとなにか弁解すべきことあるかな、というか話し方おかしくなっていないかとか。
そもそもの問題こうして男子と二人きりというのは良くないのでは!?
様々な考えが頭をよぎっては抜けていく。
カメラ片手に慌てる。ぐるぐると回る頭。
どうしていつもこうなんだ、と溜め息が出そうになって前を向くと、先程までいたはずの彼がいない。
…もしかして、彼にまで置いていかれたのか?
そんな事実に憂いて本格的に息を吐き出せば、
「綺麗な写真撮るなあ、Aちゃん」
隣から声がした。
『ひっ…!いつの間に!?』
自分でも大きな声が出て驚きつつ、しかし肩が触れ合うほどに近い距離でカメラの画面を覗く彼にそう問う。
なんでもないように、ん?なんてこちらを見やった鬱さんは、微笑んだ。
「もしほんまに僕のこと嫌いなんやったらここまで必死に謝らんし、そもそもあんなに楽しそうな姿見せてくれへんやろ?」
確信したような、そんな声色。
安心させようとしてくれているのだろうその笑顔はどこか幼馴染の彼を連想させて、仲がいいと似るのかな、なんて思考を逸らす。
そうしていないと、どうも平静を保てそうになかった。
自分をよく見てくれているのだ。それにどうも気恥ずかしさを覚えて、そっと目線をカメラへ戻す。
『…母が昔、写真を撮るのが好きで。たくさん働いて、初めて自分が稼いだお金で買ったのが、これらしいんです』
「お母さんのなん?ええ趣味しとるな」
『そうでしょう?私、それを見て絵を描くのが好きだったんです。したらこれ、くれて』
もう古いものだから、壊れるのも時間の問題だけど、Aに使ってもらえるならこの子も嬉しいわよ。
なんて、貰ったその日を思い出す。
「素敵やん。…な、それで俺のこと撮ってくれへん?」
『え。私ただの素人ですよ?』
「ええって!な?お願い!」
そういわれると断れもせず、頷く。
楽しそうに離れていった彼は、ひとつの木の前で止まった。
「かっこよく撮ってぇな、Aちゃん!」
何処かの名探偵のような謎のポーズをして待機している彼に笑って、シャッターを押した。
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森樂(プロフ) - ライアさん» 名推理!わかっていただけて安心しました、大正解です!! (2020年12月25日 6時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
ライア(プロフ) - なるほど、名探偵のようなポーズ…実写動画でのお決まりポーズですよね?! (2020年12月24日 22時) (レス) id: a00b590788 (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - 小豆さん» 私も美術部員ですこんにち((ありがとうございます、引き続きよろしくお願いします!! (2020年12月23日 21時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
小豆 - 同じ美術部員ですどう(((めちゃ神作ですね!!(確定)これからも更新応援しています! (2020年12月23日 11時) (レス) id: 73726d907e (このIDを非表示/違反報告)
森樂(プロフ) - つむ(^p^)**さん» ありがとうございます嬉しいです(号泣)作品の展開的にキャラに偏りありますが続々と出せていけたらなと思うので(願望)これからもどうぞよろしくお願いしますー! (2020年12月21日 15時) (レス) id: 319bfda70e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:森樂 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sinra_ura_d?s=06
作成日時:2020年12月3日 23時