昔の事はそうめんと一緒に水に流そう 7 ページ30
私が龍征を無視し始めてから一ヶ月半。最初はなんとか仲直りさせようと奮闘していた周りの生徒達も、私の素っ気ない態度を見てもう何も言わなくなった。
自然に戻るのを待つのが一番だと判断したのだろうか。
最初の一週間は本気で怒っていた。何回も声を掛けてくる龍征が嫌で、顔を合わせないよう避けた。
次の週は少し怒りも収まって、今度謝りに来たらミスドのフレンチクルーラーで許してやるか、と思えるくらいになっていた。
ただ、三週間後。龍征のしつこいまでの謝罪アタックがぱったりと止んだ。昨日まであれ程追い掛け回してたのに。
それがきっかけか私は意固地になってしまい、龍征が誠心誠意謝りに来るまで無視を決めこむことにした。
それが三週間と四日前のこと。最近は顔どころか声も聞いていない。
〜*〜*〜
Aを追い掛けるのを中断して三週間と四日後のある日。昼休みに虎雪とその他同クラの男子らに呼ばれ、屋上の出入口に来た。オレを呼んだ奴らは既に全員集合して、待ち構えた様にオレを囲う。そして、オレを囲う円の正面にいる虎雪が一言。
「龍ちゃん。Aにもう一回謝ろう」
はあ?
オレがAに謝るのを中断したのには理由がある。もしAが本気で怒っているとしたら、オレに追い掛けられるのは不愉快なのではと気付いたのだ。
「Aが鬱陶しいかと思ってたんだが……」
オレの反論も虚しく、仁王立ちの虎雪に切り返された。
「それは違うよ。というか、龍ちゃんが謝るの止めて状況は確実に悪化してる」
周りのクラスメイト達もそーだそーだ、と騒ぎ立てる。
オレには状況の悪化は微塵も感じられない。やはり第三者が見ると違うのか、と感心しつつ溜め息を吐く。
「でも、やっぱ無視されんじゃねーかな」
「きっと大丈夫だよ。腹パン一発くらいで済むよ」←
「おい!」
あはは、ごめんふざけた、と笑う虎雪が、励ますようにオレの肩に手を添えた。
「龍ちゃんだってこのままでいいとは思ってないでしょ?」
虎雪の導きを受けてもまだ決めあぐねているオレに、今度は他の男子から野次のような応援が飛んだ。
「はっきり言うと、お前らがギスギスしてる教室は居心地が悪い」
「そうだ!授業妨害で訴えるぞ!」
「担任が困ってんだよバカ龍征!」
口調は悪いが誰一人悪意はない。純粋な応援。
……。
幸い、昼休みは始まったばかりだ。オレはAのいるであろう校舎裏の木陰目指して走り出した。
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Ann/夜桜(よう)(プロフ) - はっ!!自己チューじゃない、事故チューだ( ˙-˙ ) (2016年11月5日 18時) (レス) id: 671e54cd06 (このIDを非表示/違反報告)
Ann/夜桜(よう)(プロフ) - 志吾さん» こちらこそ一帯誰がシリーズに携わらせていただいてありがとう〜!!しーちゃんの話もキュン死しながら見たよ!!夢主ちゃんのファーストキスは自己チューが1番ありえそう・・・ (2016年11月5日 18時) (レス) id: 671e54cd06 (このIDを非表示/違反報告)
志吾(プロフ) - 皆さんここまでありがとうございました! (2016年11月5日 18時) (レス) id: 6b4dfac9da (このIDを非表示/違反報告)
志吾(プロフ) - よーちゃんとってもかわいい話をありがとう!夢主ちゃん、わりと真面目にファーストキスは誰になるんだろうかと考えている((これからもよろしくね!! (2016年11月5日 18時) (レス) id: 6b4dfac9da (このIDを非表示/違反報告)
志吾(プロフ) - 八紡陽人さん、とっても素敵なお話ありがとうございます!私もあの二人との絡みを書きたくなってきました……!ありがとうございます!これからも一帯誰がシリーズを好きでいてくれると嬉しいです! (2016年9月27日 15時) (レス) id: 6b4dfac9da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一帯誰がシリーズの読者様 x他7人 | 作者ホームページ:http
作成日時:2015年9月10日 21時