夏の夜は君と 2

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「紫耀ありがとう。でも大丈夫。風磨迎えに来てくれるから」

「そうやって言って迎えにきてくれた事ないやん」

「大丈夫、きっとくるよ」

「………本当は寂しいんやろ？俺の事利用してくれって……」





何を聞いてるんだあたしは。

盗み聞きする気はないと言っておきながら裏に隠れてコソコソと。

姿は見えないけれど、声だけが聞こえてくる。

こんな会話聞いたって、あたしが苦しくなるだけなのに。


紫耀は今、あたしにしたみたいに美咲さんを抱き締めているのだろうか。


ああだめだ。涙が……………





「あれ、A忘れ物見つかった！？」

「！？優太？ちょ、静かにして」



シーっとやると、忍び足でこちらに近付いてきた。

紫耀と美咲さんにはバレていない。



「何やってんだよこんなとこで」

「なんでついてきたのよ」

「Aを一人にしたくなかったんだよ、こないだみたいに迷子になったら困るし」

「こないだはあたし迷子になってないからね」

「で、忘れ物は？」

「あーー、えっと、取りに行こうと思ったんだけど二人が会話してるのが聞こえてきて取りに行けなくなって…」



苦し紛れの言い訳にしては上手く言えたと思う。あたしの涙目にも気付いてない。


優太はチラッと表を覗いた。



「え！何あれできてんの！？」

「うるさい！」

「んだよ！ほら、行くぞ！」

「は！？」









「雨降る前に帰って。本当に平気だから」

「心配なんだよ！……………俺は、美咲さんのことがずっと…」

「はいはいお取り込み中すいませーーん！ちょっとね、Aが忘れ物したみたいなんすよ！いいっすかね！！」



今にも泣き出してしまいそうなあたしの手をぎゅっと繋ぎ、聞きたくない言葉を遮ったのは優太だ。




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